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高橋常政:絵画の動的平衡
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2011年 8月 02日

《アンジェリコが若冲の虎の絵を描いたら、と描いてみる。》2011年 | 油性テンペラ、金泥、キャンバス|145.5x224.2cm | 画像提供:ギャルリー東京ユマニテ | Copyright© Tsunemasa Takahashi

高橋常政(たかはし・つねまさ)は1949年東京生まれ。‘73年に創形美術学校卒業。当時偶然見た「ウィーン幻想派」の展覧会での衝撃的な出会いから、翌’74年にはウィーン、ハンブルクに渡り、R.ハウズナー、E.フックスに師事。途中ロンドン滞在を経て‘78年までの4年間ヨーロッパで制作活動を行い’76年にはウィーンで個展も行いました。

‘78年の帰国後は、個展やグループ展などで発表。その傍ら雑誌の挿絵、書籍の装丁、表紙画、映画ポスターなどのイラスト制作、舞台・衣装デザインの仕事も行ない、鮮明でインパクトある人物像で注目を集めました。

およそ30年に渡り画家、イラストレーターとして活躍してきた高橋ですが、近年は以前から興味を持っていたルネッサンス期のアンジェリコ、ボッティチェッリと室町期の等伯、狩野派、宗達、そして若冲など日本絵画との関係性を自身の作品制作を通して読み解こうと試みています。

作品「アンジェリコが若冲の虎の絵を描いたら…」は、もしアンジェリコが若冲の絵を見たらどのような影響を受けどんな作品を描くのかというイメージで制作されました。高橋自身が油彩テンペラという西洋的技法を学んだ画家であるということから、日本の伝統的絵画の影響を受け新たに構築されるこの試みは描くイメージやモチーフ、構図などが大きく変化し広がったといいます。

今回の展覧会タイトル「絵画の動的平衡」は、物質が走馬灯のようにさらさらと流れるイメージで、今起こっているこの現実はあらゆる物質が見ている夢のようなものなのではないか、と高橋はいいます。そのような視点から今回の新作は人間や動物、植物などそれぞれが強い存在感を持ちながらも渾然一体となったストーリィのある作品になっています。 ユマニテでは、実に18年ぶり4回目の個展、作品発表も12年振りとなる本展。2.6mもの大作を中心に約40点の展示になります。

益々精力的に新展開を見せる高橋常政の世界を是非ご高覧下さい。

高橋常政 (たかはし・つねまさ)
1949 東京生まれ
1973 創形美術学校卒業 講談社フェーマススクールズに勤務 (-’74、’78-’81)
1974 ウィーン、ハンブルクにてR.ハウズナー、E.フックスに師事 (-’78)
1993 『高橋常政のアートワーク』(徳間書店)出版

主な個展
1974 青木画廊 / 東京 (’79, ’81)
1975 Galerie am Rabensteig / ウィーン
1978 みゆき画廊 / 東京
1979 ギャルリーユマニテ名古屋 (’82)
1983 ギャラリー白 / 大阪、ホワイトアートギャラリー / 東京、紀伊国屋画廊 / 東京
1983 ギャラリーアルシュ / 東京 (’86)
1985 ギャルリーユマニテ東京 (’90、’93)
1999 「高橋常政の世界」池田町立美術館 / 長野

主なグループ展
1977 「20ユンゲハンブルガー」クンストハウス/ハンブルク
1980 「グルッペ5」ガレリーレピー/ハンブルク
1987 「第二回具象絵画ビエンナーレ」 神奈川県立近代美術館
1992 「IMA『絵画の今日』展」 三越美術館 (’95 、’97)

その他
表紙、装丁「ソフィーの世界」、小説「聖書」など多数。劇団四季ミュージカルの舞台装置、衣装デザイン、ポスター制作雑誌表紙等多数。

全文提供: ギャルリー東京ユマニテ


会期: 2011年9月5日(月)-2011年9月24日(土)
会場: ギャルリー東京ユマニテ

最終更新 2011年 9月 05日
 

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