画像進化論 |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2011年 7月 25日 |
サルからヒトへ、そしてスペクタクルの社会 1839年に写真が発明されると絵画は写真の精密な描写力を嫌って、抽象的方向に進んだとする説があります。しかし、1981年にニューヨーク近代美術館のピーター・ガラシは「写真以前Before Photography」という展覧会において、写真誕生直前の絵画がそのメディウムの差異を捨象すれば、写真に限りなく近づいていたことを論証し、絵画から写真への道が不可避なものであることを証明しました。これはいわば絵画から写真へのメディア論的進化といえるものです。また1895年のリュミエール兄弟によるシネマトグラフィの発明もまた写真から映画への進化といえるでしょう。 また、絵画、写真、映像を個別に見ると絵画においては具象から抽象への流れは可逆的なものであることが明らかとなる一方で、写真と映像におけるアナログからデジタルへの移行の不可逆性が画像そのものの運命をも決定づけているようです。 このような画像環境が変化する中、本展は絵画から写真そして映像へという技術革新の流れとサルからヒトへというダーウィン的進化をパラレルに措定しながらも、芸術においては進化の過程が一方通行ではなく可逆的多層性がみられることを明らかにするとともに、技術的退行もまた芸術においては豊かな創造の源泉となっているアイロニーを進化論という思想に倣って、129点の絵画、写真、映像などの傑作、大作、奇作によって明らかにするものです。 全文提供: 栃木県立美術館 会期: 2011年7月23日(土)-2011年9月19日(月・祝) |
最終更新 2011年 7月 23日 |