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丹羽良徳:共同体の捜索、もしくはその逃亡劇
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2011年 7月 20日

画像提供:AI KOWADA GALLERY | Copyright© Yoshinori Niwa

丹羽良徳(1982 年生まれ、多摩美術大学造形表現学部映像演劇学科卒)は様々な手法やメディアを用いて作品を作る若手作家です。初期には、身体を酷使するようなパフォーマンスやハプニングなどを繰り返し行ってきましたが、2010 年ギャラリーαM での企画個展を成功裏に終えるなど、近年その活動の幅も一層広がってきています。

作家自身の言葉によれば、パフォーマンスではなく社会構造へ介入を試みる介入行為なのだと言います。その言葉の通り、丹羽の作品はどれも踊りや演劇的な要素は一切排除され、ある単純な作家の行為から人間社会を根底から問い直そうとする作家の真摯な姿を浮かび上がってくるようです。

この度は、3.11以降の大震災以降の社会状況をどのようにして捉えられるか、そしてその根底にはどのような問いがあるのか、作家自身の小さな身体を通して思考されていきます。主に、市街地などで行われた行為の記録を映像化した新作2 点を展示致します。共同体を形成しながら、共に生きる私達の社会や経済の構造に個人が身ひとつで挑む姿は、どこか人間の孤独の影すら感じさせます。

共同体の捜索、もしくはその逃亡劇
可能な限り積極的に仮象を生産しつつ、そのなかに埋没してしまいそうになりなが らも、その不可能性の中でしか現実を生き抜くことはできないとうことを掴めればと思っている。ぼくらはきっと、そんな表裏一体の社会構造の中軸に存在する。

私達が形成する共同体へ向かおうとすれば、するほど逆に遠のいてしまうのも事実だと思 っている。これらの作品群は、一見なんの変哲も無い行為の記録で あるが、よく考えてみれば確かに我々の社会構造の一端を抉り取られているようにも思える。その違和感が感じ取れる限りにおいては 、ぼくはその人間性というものを信じたいとも思っている。

今回の作品は「自分の所有物を街で購入する」(2011)「デモ行進を 逆走する」(2011)を中心に様々な社会現象や構造の中に軽や かに突入するかの如く挿入された異形の行為が、私達の見ている社 会の表層にどのような波紋を作り出すことができるのか。現実の中で状況に応じて、私達が能動的に生き抜くために。
-2011年 丹羽良徳

全文提供: AI KOWADA GALLERY


会期: 2011年7月23日(土)-2011年9月24日(土)
会場: AI KOWADA GALLERY
オープニングパーティー: 2011年7月23日(土)18:00 - 20:00

最終更新 2011年 7月 23日
 

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