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原良介 展
編集部ノート
執筆: 田中 みずき   
公開日: 2011年 7月 11日

Copyright© Ryosuke Hara
画像提供:ユカ ササハラギャラリー

絵画に切り取られた世界は、時間的にも空間的にも実世界と繋がりを断たれてしまうのだろうか。その答えを導く一つの視点が本展覧会から導かれるかもしれない。並んでいるのは、異なる時間を一つの構図の中に描き込む「異時同図法」のように、同じ人物を数人、違う位置に描くことで連続した動きを表すモチーフの絵画や、キャンバスの下に紙を加えて絵画の枠の外にも絵画の世界を続けて見せるような絵画作品7点。

前者の中には、何枚かのキャンバスを並べることで、一つの物語のような繋がりを見せるものがある。絵に描かれる舞台が1枚1枚変化しながら、同一人物が登場する点で、時間の繋がりを感じさせる。絵巻などを連想させる手法だろう。

一方、後者の作品は、分厚いキャンバスに描かれた風景画の下に、薄い紙に描かれたキュビズムの世界が繋げられている。展覧会場の白い壁との対比が鮮烈で、「絵画」が実世界から分断された一つの物として浮き上がってくる。

絵画の中に描けるものは何か、絵画が切り取るものは何か、じっくり考えたくたくなる展覧会だ。

最終更新 2015年 10月 21日
 

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