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スザンナ・ニーデラー:TOKYO HANNA
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2011年 5月 16日

画像提供:a piece of space APS | Photo: Bruno Ruttimann

スイスの作家ニーデラーは2009年にAPSとGalleryJinで個展を開催後、2010年にアルテピアッツァ美唄で小林俊哉との2人展を、そして今春はチューリッヒで個展を開くなど活発に発表を行ってきました。また、チューリッヒにある駅の構内に大規模な作品を設置、そして現在は建設中のビル内にあるガーデン全体がニーデラーの作品として制作されているなど、パブリック・アートにおいても精力的に活動を展開しています。

「無言のうちに語る花」を思い起こさせてくれる“TOKYOHANNA”では、一貫したモチーフである“ellipse/エリプス/楕円”(空白・欠如・ギャップ)を指標に、観る者を深い静寂と安らぎに包まれた世界に招いてくれることでしょう。

スザンナ・ニーデラーについて
スイス・バーゼルに生まれ、バーゼル、パリ、メキシコの大学で現代美術、美術史、ロマンス諸語、文学、映像理論、写真を学ぶ。2005年にアジア各地を訪れ、2006年には日本に半年間滞在。以来、来日を重ねている。現在はスイス・チューリッヒを拠点に制作を行っている。

2009年のAPSとGalleryJinでの個展後、2010年に安田侃の作品が数多く展示されているアルテピアッツァ美唄で小林俊哉と2人展を開催。そして今春チューリッヒで行われた個展では、Art Forum Ute Barthの4つの空間に作品を展示し話題となった。また、2010年にはチューリッヒにある駅の構内の壁面に12.5メートルに及ぶ作品を制作、そして現在は都心に建設中のビル内にあるガーデン全体を作品化するなど、パブリック・アートにも積極的に取り組んでいる。主なパブリック・コレクションは、バーゼル市(スイス)、ブッシュ・ライジンガー美術館(米国)、エール大学アート・ギャラリー(米国)などに所蔵されている。

一貫したモチーフである“ellipse/エリプス”(楕円)の語源は「空白・欠如・ギャップ」である。視覚・文学・音楽の表現すべてに存在する「空白」を指標に、より深い理解への道筋ができるとニーデラーは考える。ゼロにも見えるエリプスによる視覚表現は、作品という「存在」があることで「空白」が大切な意味を持ち得る。それはちょうど言葉の「間」を読むことで人が人を理解する重要な糸口を見つけるのと同じであろう。この視点を制作の根拠とし、ニーデラーは1990年代初頭から作品展開を続けている。

今展「TOKYOHANNA」では、HANNA/花が見る者の心の奥底に「何か」を語りかけてくれることだろう。ストイックなまでにシンプルな形態に自らの思いを託し、けっして強く主張することなく、ドアを広く開く。ニーデラーの作品が放つ凛とした温かさと静けさの中に身を置き、観る方それぞれが自分にとって大切な「何か」を感じて頂ければ幸いである。

※全文提供: a piece of space APS


会期: 2011年5月25日(水)-2011年6月11日(土)
会場: a piece of space APS
オープニング・レセプション: 2011年5月25日(水)17:30 - 19:30

最終更新 2011年 5月 25日
 

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