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松本尚 個展:うずまき
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2008年 11月 20日

《baby blue the blues》 (2007), ケント紙に油彩、色鉛筆, 145 x 145cm copy right(c) 2008 Nao Matsumoto. Courtesy of SCAI THE BATHHOUSE

松本尚は1975年兵庫県生まれ。京都市立芸術大学大学院を修了後、京都・大阪を拠点に制作を続けてきた作家の今回が東京では初めての個展となります。 松本尚の描く作品には、象徴的な物語をかかえたいくつかのモチーフが配され、描き重ねられて、読み解かれるのを待っているかのようです。『自然科学的意識から遠く離れた個人的な場所、自然科学的実験とは逆方向に「私」を掘り下げて、行き着いたところ、それがたまたま今この世界で絵画として在らしめている。』と松本尚がいうように、それぞれのモチーフは、作家のごく個人的な世界にあって、クリアに思い測ったり言葉で言い表したりすることができないで集積していたイメージの世界です。意識と無意識の間のような空間や時間の軸から外れた場所、例えば作家の心の奥深くに寄り添って積み重ねられていた物語、解きほぐせない複雑な感情を松本尚は絵画という器で誠実にすくい上げています。そこには松本尚の明確な物語の構造の意図があるのではなく、松本尚自身を含む私たちがその作品として立ち現れたイメージに出会うことで、自らの深奥に積み重ねられ、語られるのを待っていた自らの物語を重ねあわせることになります。 SCAI X SCAIの今回の展示「うずまき」では、始まりも終わりもない環状の永遠に繰り返される完結した時空間を象徴するモチーフとしての”壁紙”のインスタレーションとともに、色鉛筆の繊細な線で描いたイメージをオイルで流し、また新たなイメージを描き重ねるという長い時間の中で描かれる新作の平面作品が展示されます。
※全文提供: SCAI THE BATHHOUSE

最終更新 2008年 11月 21日
 

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