| EN |

新野洋:いきとし "いきもの"
編集部ノート
執筆: 平田 剛志   
公開日: 2011年 5月 02日

《2011.1.21,Kyoto》2011年
[当展出品作品]
合成樹脂、アクリル|3.5×3.0×6.0 cm
画像提供:YOD Gallery
Copyright © Hiroshi Shinno

    昆虫好き必見の展覧会である。会場に入ると4つのテーブルが置かれている。その上には春夏秋冬のドライフラワーが並び、植物にまぎれるように新野が制作する「いきもの」が生息しているのだ。
    鑑賞者は森で昆虫を探すように新野の作品(いきもの)を見出したとき、新たな生命を発見した驚きを感じるだろう。
    これらの作品は、植物の葉を樹脂でかたどり、造形化した後に着彩を施して完成する。産毛や手足の細かい造形まで表現された高い技術には感嘆する。
    だが、新野が制作するいきものは工芸でもフィギュアやオブジェでもない。新野の「いきもの」がこれまでの昆虫(風)の作品と違うところは、既存の自然界に存在するいきものの再現ではなく、植物の形態を参照して生まれた新しいいきものだという点だ。
    だから新野の制作する「いきもの」は、自然界に存在するドライフラワーと並列しても遜色がない。人間の手による作品は、自然が生み出した造形にはかなわないところがあるが、新野の造形には植物との親和性があるため、自然物と調和しているのだ。植物と昆虫、人口と自然のハイブリッドな造形は、新たな生命=いきものの誕生に立ち会うことに他ならない。

最終更新 2011年 5月 02日
 

関連情報


| EN |