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保井智貴:Tranquil Reflection
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2011年 4月 23日

《untitled》
2011年|166x59x32cm
漆、麻布、螺鈿、岩絵具、洋金粉、膠、黒曜石、大理石、etc
Copyright © Tomotaka Yasui
画像提供:メグミオギタギャラリー

1974年にベルギーで生まれた保井智貴は幼い頃から他民族の人々と接し、人間の姿、印象、行動とその背景にある文化の関係性を意識するようになります。2001年に東京藝術大学修士課程美術研究科彫刻専攻を修了した後は、ある存在が放つ空間的な広がりを作品を通して創造しています。2010年には音楽家、ファッションデザイナー、建築家とコラボレーションし、様々な要素が共鳴しあう相関性の強いスペースを作り上げました。

保井の彫刻の周りには美しく静謐な時が流れ、空間の奥行きを感じさせます。繊細な輝きをたたえながら正面を見据えて直立する等身の人物像は、表情となる手と指を隠す長い袖によって独特なフォルムをしています。そしてこの未来的な像が乾漆という日本古来の技法によって作られたという意外性と、時間とともに変化し呼吸を続ける漆が作品のテーマをより引き立たせている必然性は新しい古典作品というにふさわしいものです。

興福寺の阿修羅像などに代表される乾漆という技法は、数ヶ月に及ぶ工程を必要とします。まず粘土作られた原型から石膏型をとり、その内側に何層にも漆と麻布を張り合わせて本体を作り上げます。その表面にさらに漆を何層にも重ねて形を整えて行く事で、艶やかで気品のある色合いや質感が作られます。

今展の「Tranquil Reflection」では、半貴石、螺鈿、色漆、蒔絵、日本画の材料である岩絵具などで装飾された無国籍な衣服を纏った3体の人物を画廊に登場させます。それぞれの存在が放つ空気が一つになり、幻想的な空間を生み出します。民族を超え、時間を超え、人間像の普遍性を日本人のこだわりの美意識で表現する保井の最新作をどうぞお楽しみ下さい。

※全文提供:メグミオギタギャラリー


会期: 2011年6月14日(火)-2011年7月2日(土)
会場: メグミオギタギャラリー
レセプション: 2011年6月14日(火)17:30 - 19:30 / ライブパフォーマンス:吉澤成友("YOUR SONG IS GOOD " ギター)

最終更新 2011年 6月 14日
 

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