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オラフ・ブルーニング:the art freaks
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2011年 4月 07日

Copyright© Olaf Breuning
画像提供:児玉画廊

NY在住のスイス人アーティストであるオラフ・ブルーニングは映像、写真、インスタレーション、立体、ドローイング、表現手法は多岐にわたりますが常に内容はどこかバカバカしくて、ブラックなユーモアに溢れています。ホイットニービエンナーレ(2008)、ミグロスミュージアム(スイス)での大規模個展(2007)など国際的評価も高く、世界各地で精力的な作品発表を続けています。

最新シリーズでは、オマージュと呼ぶには少々行き過ぎなのかも知れませんが、ウォーホルのマリリンのパロディなど、有名な作品ないしは著名なアーティストそのものを題材にして作品を制作しています。今回新たに発表される、近現代のマスターピースを模したボディペイントを施したポートレートのシリーズ "the art freaks" やピカソのゲルニカをそれこそ道端の落書きのように描いたウォールドローイングなど、更にそれをあえて(ドラフト)と呼んで弄んでいるようなそぶりさえ垣間見えるあたりにもオラフ・ブルーニングの真骨頂でもあるブラックテイストのユーモアがたっぷりとお楽しみ頂ける内容です。

今回の個展では代表作品とも言える映像作品「HOME」のスクリーニングを2Fスペースで同時開催致します。旅行者である主人公が旅先で見せる場違いな振る舞いや、無知や思い違いから取った突飛な行動がオーバーアクションで描かれています。主人公の空想と回想が入り乱れた分裂症的な場面転換を繰り返しながら、文化的差異からの孤独や居場所のなさに寂寥とするのではなく、アイロニーもシニシズムもスノビズムも渾然となって、ことごとく笑いに置き換えられていきます。

作家ホームページも非常に遊び心に富んだ構成になっていますのでぜひご覧下さい。http://www.olafbreuning.com

※全文提供: 児玉画廊


会期: 2011年4月8日(金)-2011年5月7日(土)
会場: 児玉画廊 | 京都

最終更新 2011年 4月 08日
 

編集部ノート    執筆:平田 剛志


Copyright© Olaf Breuning
画像提供:児玉画廊

絵画の多くはキャンヴァスや紙に描かれるが、人の身体に描かれることはそう多くはないだろう。ニューヨーク在住のスイス人アーティスト、オラフ・ブルーニングの『the art freaks』は、身体にボディペイントを施した人物を正面から撮影したポートレイト作品である。

ボディペイントを施された人物を見ていくと、さまざまな色や模様が描かれている。どれも有名な画家の作品を想起させる。例えば、モンドリアン、ピカソ、ポロック、ウォーホル・・。そう、これらの作品は、すべて著名な作家の作品イメージをボディペイントし、撮影された作品なのだ。

もちろん平面である絵画を人体にペイントする以上、そのすべては描けない。参照する作品・アーティストの特徴やイメージをどのように表現するのかに、オラフのシニカルな作品解釈・批評性が伺えて笑いを誘う。そして、鑑賞者が近現代のマスターピースを鑑賞しつつ、実際は男女の裸体を見ているという鑑賞行為は、美術鑑賞の滑稽さを潜ませているのではないだろうか。ちなみに、日本人作家では河原温、村上隆の作品が使用されている。どのようにボディペイントされたかは実際の会場でご覧いただきたい。鑑賞者のアートフリーク度が試される展覧会である。

また、2階スペースでは、映像作品『HOME』が上映されている。2面プロジェクションで上映される映像の1つは作家本人らしき人物が旅先のホテルで奇妙な振る舞いをする白黒の映像。もう1つはアメリカらしき郊外を舞台に、支離滅裂でふざけた振る舞いをする若者たちを写したカラー映像である。どちらもバカバカしい行為の数々が淡々と繰り広げられるが、先の読めない展開に惹きこまれてしまう。ハーモニー・コリンの映画が好きな人にはとくにおすすめしたい。


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