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田中偉一郎:平和趣味 
編集部ノート
執筆: 田中 みずき   
公開日: 2011年 3月 31日

もしも身内がこのような作品を作っていたら、「アホ!!」と赤面しながら呟いてしまうかもしれない。展示室に並ぶのは、日本の身近な生活の中に潜む情けないものを、作者の仕掛ける行動や創作で新しい視点から捉えなおしていく作品だ。しかし、その視点にことごとく、無邪気な笑いが潜んでいる。観ていると笑いがとまらなくなるので注意が必要だ。

最新作の、老若男女が集るラジオ体操の現場で、作者一人だけ全く違う動きをしてみる映像作品が圧巻である。ただそれだけの行為が、非常にアバンギャルドに見える。奇怪な動きをする作者の様子と周りの人々とのギャップに笑いつつ、自分が昔、皆に合わせて踊っていたのは何故だったのかと思ったり、周りの子供たちと大人との反応の差に気付かされたり、様々なことを考えてしまうかもしれない。この展示を観た後は、笑った後に日常を観る目が変わっているだろう。

最終更新 2016年 8月 04日
 

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