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山神悦子:筆触の軌跡'93~'10
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2011年 3月 18日

《No.51》2002年|162.0x130.3cm|oil on canvas | Copyright© Etsuko Yamagami | 画像提供:ギャラリー惺SATORU

山神悦子は自然な手の動き・リズムによるストロークで描いていくというコンセプトはそのままに、2004年頃から筆触がより繊細になり、色彩も多色から、“地”、“図”、又はその両方を白で描くというように作風は変化をしてきました。

そのため初期から現在までの代表的な作品、60号・100号・120号の大作を中心とした8点と作品写真を展示し、思索と制作の変遷を展観致します。 人間に本来備わっている身体性や即興性、そして豊かな色彩観を感じて頂けることと思います。是非ご高覧下さい。

なお本展出品作品のうち三点は三鷹・武蔵野発信のオンラインアートフェア、MM ART FAIRでもご覧戴く事が出来ます。

作家コメント
とにかく絵を描きたくて原色を使ってやみくもに描いていた。‘93年に自分が本当に好きな色を使おうと決めて絵を描いたところ、出来た絵は自分の予想を越えているにもかかわらず、自分らしいと思ってしまうものだった。これは明らかに「はじまり」なのだという自覚があった。
その後、身体の自然な動きによる筆触が形作る画面を一貫して目指しながら同時に色彩や地と図の関係などにも関心を持ち続けている。
‘89年に発表し始めてから相当数の作品を描き、気に入らないものを処分したり、全面的に描き直したりした。残ったものの中から今回の展覧会のために数点を選び、実作品と写真で’93~’10年の私の思考と制作の変遷を提示した。観客のみなさまとともにそれを辿り、それによって得た事を今後の制作に生かしたいと考えている。その意味で「つづく」という言葉を使った。

展覧会開催に際し
3月11日の午後、ちょうど搬入を終えた時に大地震が起きました。4日後の現在、犠牲者は万人単位になると報道されています。被災者の方々に心よりお見舞いを申し上げます。テレビで現地の悲惨な様子を見ると私どもも心が傷付き、重く沈んだ気分になります。今は一刻も早い救助が期待されており、さらにこれからの復旧にかかる長い年月を考えると、このような困難な時期に展覧会を開くことの意味を改めて自問せずにはいられません。
安全な避難場所、食べ物や水を求めている方々にとっては絵など無用の長物、もっと直接的な援助が必要です。
私が今まで描いてきた絵は絶望的な体験をした方々の最も重い問いかけに答えられるのだろうか、不幸にして亡くなった方々の追悼に相応しいのだろうかと疑います。その一方で傷付いた心を癒し、わずかでも生きる希望と喜びをもたらすものであって欲しいと願いながら展示しました。

※全文提供: ギャラリー惺SATORU


会期: 2011年3月19日(土)-2011年4月24日(日)
会場: ギャラリー惺SATORU

最終更新 2011年 3月 19日
 

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