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毘堂:i-con
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2011年 3月 16日

《Mona-Lisa》2007年
21.2 x 14.6 x 8cm|檜・胡粉・顔料・他
画像提供:メグミオギタギャラリー
Copyright © BIDOU

1970年生まれの毘堂は、1992年に能面師小川玄洞に師事し、「毘堂」を拝命しました。その後能面師として独立し多くの面を手がける傍ら、伝統工芸の枠を越えた個人の表現を模索し始めました。そして近年では、モナリザや真珠の耳飾りの少女など、西洋の古典絵画に登場する人物の顔を能面の技法を用いてマスクにし、新たな人間像を作り上げる独自の制作を行っています。

毘堂は面を単なる顔と考えず、人間やその置かれた状況全てを集約したものと考えます。そして絵画の中の人物を三次元の面にするこのシリーズは、絵画そのものをマスクに集約する事の試みです。さらに毘堂は「古色」という能面特有のエイジング技法を使って作品に見られるひび割れや傷などを丹念に再現し、時間が作り上げた特有の美しさ「時代感の美」を表現します。

能面師は「面打ち師」とも云われ、木を彫ることを「打つ」と言います。それは作者の精神性や想い(魂)を作品に打ち込むことから来ています。室町時代から600年以上続く技術や精神性を持って私自身日々作品と対峙してきました。「伝統」とは過去からの古いものを受け継ぐことだけで無くそこに現在の新しい要素を取り入れ、そして未来へ伝えることだと私は考えます。

霊や鬼、神仙といった存在が多く登場する能では、役者が魂のこもった能面を被る事によって超自然的なアイコンとなり、人間が足を踏み入れる事の出来ない時空を舞台に作り上げます。毘堂のマスクもまた、平面と立体、東洋と西洋、そして膨大な時間を超えた新しい次元のアイコンとして、今まで誰も見た事のない人間の姿を想起させます。

今展では、未発表作品から新作まで7点のマスクを展示し、西洋の絵画として誕生し、東洋の技で再び魂を込められた人物達が異色の舞台を繰り広げます。毘堂「I-con」にどうぞご期待下さい。

※全文提供: メグミオギタギャラリー


会期: 2011年5月10日(火)-2011年5月28日(土)
会場: メグミオギタギャラリー
レセプション: 2011年5月10日(火)17:30 - 19:30

最終更新 2011年 5月 10日
 

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