西田知代は1984年福岡県生まれ。2008年女子美術大学芸術学部絵画学科洋画専攻修了。“ここではないどこか”という異次元の気配、夢の中に体験するおぼろげな、だけど確かな臨場感や空気をはらんだ作品です。今回の個展では、この数年取り組んでいる、紙にインクや水彩によるにじみで描いた、果てしなく続いてゆく物語の一部を切り取ったような作品を展示いたします。

絵画の前にインターフェイスである蝋燭が置かれ、鑑賞者の「行為／switch」がメディアとなる参加型の作品です。カメラによって鑑賞者をとらえ、距離センサーによって輪郭を切り出し、「顔認識／局所変形機能」を用いることで、子供の顔のように現象する鑑賞者の動画がキャラクターのアニメーションと共に、絵画上に投影されます。

作家コメント
夢は、時間軸が存在せず主観時間でのみ知覚されます。
夢を制作の土台に扱っているのは、誰とも共有できない個人的なのものである夢は、誰も入ることができない特別な空間、物語のように感じるからです。
そこには絵本の清潔さと似た部分があって、絵本の深い落ち着きと幸福感、かるいかなしみ、物語というものが多分本質的にもっているふしぎなあかるさを感じます。
絵と言葉で構成され、貢（ページ）をめくりながら読み進めていく絵本というものとその形や重さは、私にとって一番最初に触れた想像や物語の世界であり、イメージの源泉部分と強く結びついています。
8×45cmのサイズから始まり続いているドローイングは、形を少しずつ変えながら、現在800点程に増え、あえてフリーハンドで切った紙に、記憶の中から何かを呼び戻す作業の記録です。

西田 知代
1984年　福岡県生まれ
2006年　女子美術大学短期大学部造形学科美術コース絵画卒業
2008年　女子美術大学芸術学部絵画学科洋画専攻修了

個展
2007年　ギャラリー銀座フォレスト・ミニ（東京）
2008・09年　ギャラリー58（東京）
2009年　リムアート・本館（東京）
2010年　「THE TAALE」　ギャラリーとわーる（福岡）

グループ展
2010年　「新世代への視点2010　画廊からの発言’10小品展」（58から出品）ギャラリーなつか（東京）
2011年　「コンテンポラリーアート小品展」　ギャラリーとわーる（福岡）

その他
2006年　女子美術大学短期大学部卒業制作賞受賞
2009年　「ジョイントコンサート東京公演、福岡公演」宣伝美術
2010年　「第23回日本の自然を描く展」入選　上野の森美術館（東京）

※全文提供：　ギャラリー58

会期：　2011年3月14日（月）－2011年3月19日（土）
会場：　ギャラリー58