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森村泰昌:肖像経済、その他
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2011年 2月 05日

肖像経済/元 (2011 年)
画像提供:BLD Gallery|Copyright © Yasumasa Morimura

森村泰昌は、85 年「肖像・ゴッホ」を発表して以来、一貫して名画の登場人物や女優、革命家などに自ら扮するというユニークな手法で、セルフ・ポートレート作品に取り組み、国内外で活躍しているアーティストです。本展は「肖像経済、その他」と題し、経済と芸術にまつわる価値について考察したシリーズを中心に展示します。

お金と芸術というものは非常に近しい関係にあるんじゃないでしょうか。お金も絵画も、それが大切なひとにはすごく大切だけれど、そうでないひとには単なる紙きれです。「一万円」といってもその価値がわかるのは、そのお金の価値という幻想を持ちうるひとや社会じゃないと駄目でしょう。それにその幻想は、デフレ、インフレ、国際為替といつも変動していて、じつに危うい。

芸術も評論軸は常にグラついています。感動できるひとには素晴らしいものでも、さっぱり理解に苦しむひとにとってはなんの値打ちもありません。お金と芸術は、なんだか在り方が似ているんですよ。
-森村泰昌 『「その他」のチカラ。』より

「なにものかへのレクイエム」シリーズにおいて、森村が扮した20 世紀の偉人たち、レーニン、ゲバラ、毛沢東、アインシュタインらは、奇しくも実は紙幣の肖像画となっています。それら革命家達の肖像(森村のポートレイト)をもって、高度に発達した資本主義社会の血液として流通している紙幣自体に森村自身が入り込むということは、一見諧謔的な側面も持ちつつ、資本主義経済そのもののポートレイト化とも言えます。

また、森村の代表作である美術史シリーズ以外のあまり知られることのなかった作品たち、森村が言う「その他」とされるジャンルの作品の中から、切手シリーズ、レンチキュラーの技法を使用した新作マルチプル作品「だぶらかし」シリーズなどを展示いたします。どうぞこの機会にご高覧下さい。

【出展予定作品】
「肖像経済」シリーズ 新作9 点
「切手の肖像」シリーズ 新作含11 点
「だぶらかし」シリーズ(レンチキュラー作品) 新作3 点
「モナ・リザ現れる」 3 点

森村泰昌(もりむら・やすまさ)
1951 年大阪府生まれ。京都市立芸術大学芸術学部工芸科卒業。85 年、ゴッホの自画像に自ら扮して撮影する大型のセルフ・ポートレイト作品を発表し、以後一貫してポートレイト作品を制作。88 年ベネチアビエンナーレ/アペルト部門や、翌年の「アゲインスト・ネイチャー ―80 年代の日本美術」展に参加するなど国際的に活動を展開している。2010 年から11 年にかけて「なにものかへのレクイエム」展が全国4 会場を巡回し、現在兵庫県立美術館で開催中。また宝塚歌劇のアート・ディレクションやイッセイミヤケのプリーツプリーズ/アーティストシリーズの第一弾をてがけるなど、その活動は多岐に渡る。02 年東川賞、07 年芸術選奨文部科学大臣賞授賞。今年2011 年には毎日芸術賞を授賞している。

【関連書籍】
森村泰昌 『「その他」のチカラ。』(Akio Nagasawa Publishing, 2010)
仕様: B5 変型 /ソフト・カバー/ 132p
定価: 1,890 円(税込)
<3月末刊行予定>
森村泰昌 『肖像経済(仮)』(Akio Nagasawa Publishing)
仕様: A4 変型 / ハード・カバー/ 72p
予価: 3,990 円(税込)

【関連イベント】
トークイベント: 森村泰昌×宮島達男(美術家) -「その他」作品の魅力
日時: 3 月5 日(土)15 時より
場所: BLD GALLERY 会場内
料金: 1000 円(定員50 名/座席予約先着順)

トークイベント: 森村泰昌×ゲスト
日時: 3 月末から4 月上旬に開催予定
場所: BLD GALLERY 会場内
料金: 1000 円(定員50 名/座席予約

※全文提供: BLD Gallery


会期: 2011年3月5日(土)-2011年4月17日(日)
会場: BLD Gallery
オープニング・レセプション: 2011年3月5日(土)19:00 – 21:00

最終更新 2011年 3月 05日
 

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