作家コメント
“あやふやな記憶の一こま”
薔薇は嫌いだったわけではない、ただずっと、その甘いイメージが手に負えなかった。 私には触れない花だと思っていた。
昔観たペキンパーの映画のごとく逃れるようにメキシコに住み、絵を描きながら花の卸売市場に通ううちに、花が小さくて安い薔薇をたくさん買うようになった。茎が太くて刺も細かい。花びらも、葉っぱのように緑がかった花びらで覆われていて、ちゃちでたくましい。そんな薔薇たちに接しているうちに、赤い立派な薔薇にも少しずつなじんできて、やっと触れることができるようになった、聖母の花、アフロディーテの愛の花。 女性の靴たちを、これら愛の薔薇に捧げます。
メキシコは、私が密かに心のうちに抱え持つありとあらんことを、何も言わずにほぐしてくれました。過去形です。今はまた、違う形でメキシコと向き合います、感謝を込めて。

高澤日美子（TAKASAWA Himiko）
1961年　東京都生まれ
1993　創形美術学校造形科絵画専修コース修了
2002　メキシコ国立絵画彫刻版画学校“ラ・エスメラルダ”卒業
2000年、Bienal Nacional Diego Riveraコンクールにおいてドローイング部門入賞。
二人展、グループ展など多数参加。

個展
2000　“la época en el brillo”、El Juglar、メキシコシティ
2005　 “flores negras”、Nebulosa、ハラパ市、ベラクルス州
2005　“walking into Germany with my hearts, and flying back to México”、Tacheles（アトリエ開放）、ベルリン、ドイツ
2005　“木の下に”、ギャラリー２１＋葉、東京、ギャラリーレイ、名古屋
2008　“そこに置く”、炉檀、東京
2010　“la memoria: recuperable=irrecuperable”、Galeria910、オアハカ市
2011　“愛に関してはロマンチックに”—薔薇に彼女たちー、プラザギャラリー、東京

今後の予定
オアハカ市エネストロサ図書館にて個展、ワークショップ開催　
ギャラリー・ニ・モド（墨田区本所）にて個展
ギャラリー・アーティスロング（京都市）にて藤山貴司先生と二人展

全文提供：　プラザ・ギャラリー

会期：　2011年4月2日（土）－2011年4月24日（日）
会場：　プラザ・ギャラリー