作家コメント 1973年に私は九州に生まれました。高度成長に沸き立ち、誰もが「明るい未来」を信じている街で私は育ちました。幼かった私も同じ。未来は確実に明るく、希望に満ちているものであると何の根拠もなく信じ、育ってきました。未来は確実に現在よりも良く、そこには必ず「楽園」があると信じて成長してきました。
しかし、現在。
けたたましい音をあげながら操業していた工場は閉鎖され、賑わっていた商店は閉じられ、人々は去り、 「明るかったはずの未来の残骸」が故郷の街にはあふれています。また、一見すると華やかですが、私の想像していた「明るい未来」とはかけ離れた、どうしても違和感を感じてしまう、現在の東京の風景にも私は「明るかったはずの未来の残骸」を感じてしまいます。そんな「明るかったはずの未来の残骸」を故郷や東京の風景を通じて作品としました。
そして今考える「これからの未来」。
「これからの未来」は「二人称」でも「三人称」でもなく、各々の人々の中の「私自身」つまり「一人称」の 中に存在するのではないでしょうか?私が幼いころ夢見た「明るい未来」は誰かの「明るい未来」の焼き直しでした。そんな「ニ人称」、「三人称」で語られることのない、「一人称」の未来を表現するために、作品の中に「自分自身をうつすもの」つまり「鏡」を散りばめました。
そして、作品を見る人々が映り込み、見る人々、時間、場所によって全く異なる「一人称」を作品の中に入れ込むことにより、一度として同じ状態のない作品をつくりました。
「明るかったはずの未来の残骸」と「これからの未来」を入れ込んだ、一度として同じ状態のない作品。これが今回の展示のコンセプトです。
阿部起任 1973年 大分県生まれ 1998年 早稲田大学社会科学部社会科学科卒業 卒業後TV-CM制作会社にて働く、その後退社 2001年 セツモードセミナー入学 2006年 セツモードセミナー修了 2002年 雑誌「イラストレーション」第125回チョイス入選、グループ展「キリンかるた」参加 2004年 個展「セツ展月光荘賞受賞記念阿部起任個展」銀座月光荘にて開催、グループ展「セツ展受賞者20人の展覧会」参加 2006年 GEISAI#10にてスカウト審査「ステディスタディ賞」受賞 2007年 アメリカ合衆国 N.Y. Agora Gallery主催 2007 Chelsea International Fine Art Competition入選(審査/Tina Kukielski, senior curatorial assistant at the Whitney Museum, New York City) 2007年 「吉祥寺アパートメント」グループ展参加 2007年 NY Agora Galleryにてグループ展参加 2007年 amuse art jam 2007 in 京都 グランプリ部門1次審査通過、京都文化博物館にてグループ展参加 2008年3月/雑誌「エスクワイア」主催、「esquire cafe」参加。青山のカフェにて作品展示 2008年 シンジュク・アート・インフィニティー入選 新宿丸井工事現場壁面にて作品展示 2008年 「吉祥寺アパートメント」グループ展参加 2009年 Zuishouji Art Projects参加 白金 瑞聖寺にて個展「阿部起任作品展」開催 2010年 カナダ、ヴァンクーバー RUFUS LIN GALLERY にて作品展示
※全文提供: Nroom artspace
会期: 2011年1月24日(月)-2011年1月30日(日) 会場: Nroom artspace パーティー: 2011年1月28日(金)17:00 -
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