上田風子:Lucid Dream |
展覧会 |
執筆: カロンズネット編集 |
公開日: 2011年 1月 13日 |
ここではない別の世界を想像する。子供の頃、誰もが現実とはかけ離れた自分だけの世界を持っていた。大人になった私たちは、いつしか現実の世界だけを当たり前に、あるいは強制され生きている。 Lucid Dreamとは、明晰夢(めいせきむ)のこと。つまり、睡眠中に「これは夢だ」と自覚しながら夢を見続ける状態のことだ。上田風子の創作はこの明晰夢に近いという。絵筆の先で夢の世界に触れるとき、自分の想像を超えるイメージが氾濫する。舵がきれず翻弄される瞬間、どこでもない場所へ無限に接近できる気がするという。描かれる夢の中の少女たち…そこには現実でも非現実でもない暴力性やセクシュアリティが孕み、ナンセンスなユーモアが現れる。 本展は、2011年2月に芸術新聞社より刊行される上田風子初の画集「Lucid Dream」の発売を記念し開催する。会場では、画集に掲載されている1999年の初期作品から年代を追い新作までを展示。また、2007年に制作した8枚の襖からなる茶室「パノラマ ~浅い夢深い眠り~」の大作を設置し、ギャラリーの中にもう一つの空間を生みだす。来場者は茶室内へ入って鑑賞することができる。 薄暗く、そして少し湿った空気が漂う上田風子の世界。見ず知らずの住人たちは息を潜め、私たちを引きずり込むだろう。 ※全文提供: Bunkamuraギャラリー 会期: 2011年2月2日(水)-2011年2月19日(土) |
最終更新 2011年 2月 02日 |