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蝸牛あや:海のむこう 空のなか
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2011年 1月 10日

画像提供:メグミオギタギャラリー
Copyright © cagiu aya

蝸牛あやは2011年に多摩美術大学彫刻科を卒業後、さまざまな刺繍の伝統技法を学び、その可能性と魅力を追求するような自由な作品づくりを続けています。

私達にとって最も身近な工芸の一つでもある刺繍は、ものづくりとしての特性から構図、配色、技術の組み合わせなど細部にわたり様々な思案がなされ、作り手の心情が一針ごとに込められています。そうして作られた作品は静止した画面ではなく、うごめくような立体的で不思議なエネルギーを放っています。

刺繍は、古くから人々の祈りや願いを込めて、装飾として様々な場面で使われてきました。刺繍の持つ力は、そこにある時間の蓄積と、縫いに込められた祈りによるものといえます。その刺繍の手法を用いて、私がしたいことは、状況や感情や記憶が、時間と共にうつろう途中にある無数の点々を、縫いつけて留めておくことです。たとえば、一呼吸のうちに変わる空の、その透明な色を手に持って、いつまでもそのままあるように一刺し一刺し刺繍し、その積み重ねののちに、作品の中にあたらしい風景を見ることです。

古くは縫仏から、官服、舞踊の衣装などで生かされてきた刺繍は、その時代の世相や風潮を大きく反映し、私達の歴史を綿々と縫い継いできました。その艶やかな表層の奥には、作り手の静かな情熱が息づいています。蝸牛もまた、自分が生きる時間の流れを緻密な刺繍によって表現します。

今展「海のむこう 空のなか」では、変化を続ける風景を縫いあげ、水平線のずっとむこうの空のなかに入っていくような感覚になる豊かな空間を作り上げます。絵画や刺繍の枠を超越した新たな表現にどうぞご期待下さい。

※全文提供: メグミオギタギャラリー


会期: 2011年3月3日(木)-2011年3月26日(土)
会場: Showcase / メグミオギタギャラリー

最終更新 2011年 3月 03日
 

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