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藤本由紀夫×建築家×岡田一郎:建築する音 vol.5 — 音・空気・建築 —
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2010年 11月 15日

画像提供:アートコートギャラリー

毎年恒例、藤本由紀夫 × 建築家による「建築する音」企画の5回目となる展示およびトークイベント。今年はアーティスト・岡田一郎をゲストに向かえ、さらに充実した内容でお届けいたします。

「空間を構成することが建築であり、時間の流れを音によって構成することが音楽であるならば、  時間を構成する建築、空間を構成する音は考えられないのか? 」

中世ヨーロッパにおいて、建築と音楽の間に密接な比例関係が成り立っていたことに着目し、アーティスト・藤本由紀夫と建築家たちが時間と空間を組み立てるという行為を共有することで、現代のアートと建築の関係性について考え、その経験と実践に新たな方向性を見出すための試みとして始まった《建築する音》。5年目となる今年は、アーティスト・岡田一郎をゲストに迎え、「建築」と「音」という本質的な要素に今一度立ち返り、もうひとつの要素「空気」を触媒としながら、両者が関わり合うことの可能性について考察を重ねてきました。

現代の建築空間において、音は「防音」や「消音」という観点から、排除すべき要素として扱われがちです。しかし、建築空間があり、空気の流れがあれば、そこにはつねに自然発生的な音=「建築の音」が存在します。私たちは、そのような、すでにそこにある「建築の音」を抽出・前景化することで、音 - 空気 - 建築の関係を、ある特殊で印象的な経験として浮かび上がらせることができないかと考えました。

例えば、建築の基本的な構造、壁や屋根といった遮蔽部と、窓や換気扇といった開口部の相対する二面性によって、空気が遮断されると同時に限られた空洞を通り抜けるとき、建築物が管楽器のように機能して発生する音。岡田一郎による《Moving Air》は、建物の吸気口や排気口などにマイクを近づけて録音するという作業を各地で行い制作されたサウンドワークですが、今回は、「建築の音」の採集標本ともいえるこの作品を素材とし、音と空気と建築が、様々な構図で関わり合う仕掛けと設えによってアートコートギャラリーの空間を構成します。

音によって象られる通路、建築物と音の接触面、空気に媒介される音の移相—— 。 周囲の人間や自分自身の動作・行為を契機として刻々と変化する音 - 空気 - 建築の位相関係を体験しながら、その中に留まり、また、そのあわいを通過することで、私たち一人一人の身体感覚は、次第に「建築を聴く」 ことの可能性へと開かれていくことでしょう。

◆トークイベント◆
◎18日(土)15:00〜16:00 岡田一郎 × 建築家 ※要予約(定員50名)、参加料 ¥500(ワンドリンク付)
[アーティスト岡田一郎が、建築物や環境との関わりにも触れながら、"Moving Air"を始めとする自作について語り、建築家たちと対話します。]
◎19日(日)15:00〜16:00 藤本由紀夫 × 岡田一郎 × 建築家 ※要予約(定員50名)、参加料 ¥1,000(ワンドリンク&クリスマスプレゼント付)
[音と建築が関わり合うことの可能性について、〈建築する音〉メンバーと意見を交わしながら、会場内の仕掛け・設えを体感していただくツアー型トーク。]
*ご予約:TEL > 06-6354-5444 / E-mail > このメールアドレスは、スパムロボットから保護されています。アドレスを確認するにはJavaScriptを有効にしてください (お名前、参加を希望される日程、人数をお知らせ下さい。)

◆アーティスト:藤本由紀夫
◆建築家:東井嘉信(株式会社大林組本店建築設計部)、荒木洋(AN Architects)、井上琢也(株式会社石本建築事務所大阪支所)、小林幹彦(阪神電気鉄道株式会社)、東原理子(株式会社石本建築事務所大阪支所)、長澤浩二(AN Architects)
◆ゲスト:岡田一郎
1976年生まれ。京都市立芸術大学にて彫刻を専攻。2007年、同大学院博士(後期)課程卒業。特定の場所がもつ空間/時間の意味や特性=「場所性」を意識しながら、周囲の環境や状況と向き合うための手段として作品を制作している。
2003 <Art Court Frontier 2003>、ARTCOURT Gallery (大阪) / 2008 <air–condition>個展、PANTALOON(大阪)/ 2009 <ある風景の中に>、京都芸術センター(京都)

※全文提供: アートコートギャラリー


会期: 2010年12月18日(土)14:00〜17:00 / 19日(日)12:00〜17:00

最終更新 2010年 12月 18日
 

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