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小勝負恵:Blind house
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 11月 10日

《Blind house》1060×775 4枚|ミクストメディア
画像提供:Yoshimi Arts|Copyright © Megumi Coshoubu

《Blind house》1060×775 4枚|ミクストメディア
画像提供:Yoshimi Arts|Copyright © Megumi Coshoubu

今回が初個展で20代の新進作家小勝負 恵の個展。

小勝負恵は、自身が関わる身近な社会や関心のある社会の現象に問題意識を持ち、風刺的な視点を持って観察し、それらの事象を蓄積してきました。今展では、独自の表現方法で制作した作品を発表致します。

わが国では、テレビから連日のように幼児虐待、子供による親への殺人、年金取得の為に親の死を黙殺、無理心中等のニュースが流れ、血縁同士の殺戮が日常化する形相です。家族は、コミュニティーの中で最も小さな単位で、人間が一番初めに直面する社会です。私たちは、社会生活において隣人との関係性が希薄化し、隣人に何か事件が起こった場合、そこに至るまでの経緯を結果でしか伺い知ることが出来ません。 またこの国が深刻なのは、それらの事件に対しさして誰も掘り下げて問題や対策を議論することもなく、解決しないまま何事もなく日常が進み、自分たちの社会に深刻な出来事が起こっている意識さえ存在しないと思える事です。ある作家が、「経済や科学や医療の進歩を研究者がどんどん進めていった場合、社会の人全てが手放しでハッピーになるわけではない、そこで美術家は作品を通し世界に問題を提議する必然、義務があるのではないか」という趣旨の事を言われたのを痛切に記憶しています。

小勝負が、今展示で制作するBlindシリーズは、ここ数年頻繁に起こる児童虐待や育児放棄などの家族問題と問題に対する意識化がテーマになっています。社会の問題や現象を問題提議するために、鑑賞者が単に鑑賞するに留まらず、鑑賞者自身が実際に作品である窓を開け、作品に関わり体感する事で初めて完成する作品です。

今展では、4連作品「Blind house」と「a Blind bud」タイプ6点を出品発表致します。

【「a Blind pud」に関する作家コメント】
私の触れ合う生徒の中には心を閉ざした子供達が少なくありません。しかし、彼女等は周囲の距離を保ちつつも、自傷行為を繰り返すことで「見て欲しい」という欲求をアピールし続けます。彼女等と向き合うと「ほんの一時だけ覗き見する閉ざされた窓」という言葉が頭に浮かびます。「Blind house」でも用いた窓額の縮小版の中に少女の肖像を埋め込んだ作品を制作致しました。
白亜地を針で削り、凹みにアクリルや油彩、オイルステインを刷り込む、リストカットや机への彫り込みを繰り返す少女達を見ていると、「傷つける」「刻み込む」行為自体に複雑な意味を感じ、タブローに表現しました。

【小勝負恵 Megumi Coshoubu】
1984年 広島県呉市生まれ
2007年 広島市立大学芸術学部美術科油絵専攻 卒業
2009年 広島市立大学芸術学研究科絵画専攻 修了
2010年 insel展(アートもりもと)
現在 中学校教諭

※全文提供: Yoshimi Arts


会期: 2010年12月7日(火)-2010年12月26日(木)11:00-19:00|会期中無休(作家在廊日12月11日(土))
アーティストレセプション: 2010年12月11日(土) 18:00~

最終更新 2010年 12月 07日
 

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