メディアとアート 明晰な幻:from Machine Art to Media Art |
展覧会 |
執筆: カロンズネット編集 |
公開日: 2010年 11月 10日 |
メディアアートとはなにか?この展覧会では「幻」という語で、今日メディアアートと称されもする正体のつかめない儚い、一過性の、しかしながら、確かにはっきりと視覚され得る芸術を呼びます。絵画、彫刻、建築、文学などのように物質的にジャンル分けし難い近現代の芸術は、今日的な美の在り方を体現する新たな創造力の賜物に他なりません。1934年ニューヨーク近代美術館における「マシーン・アート」展の状況から始め、コンピューターでプログラムした映像による多様な表現で国内外で活躍する現代作家plaplax(プラプラックス)の作品を紹介し、アートとテクノロジーの歴史の一端を辿る機会とします。 展示構成 学芸員によるギャラリートーク ※全文提供: 川崎市市民ミュージアム 会期: 2010年10月9日(土)-2011年1月16日(日)9:30 - 17:00(入館は16:30まで)観覧料無料 |
最終更新 2010年 10月 09日 |
plaplax(プラプラックス)《Kage’s Nest》は2001年以来、国内外の美術館で展示されており、今回の川崎市市民ミュージアムでの展示ですでに5回目の展示となる。本展においては、展示空間の周囲の壁のゆるやかなカーブと光の円の形が呼応し、密度がありつつ開放的な、暗がりの中を歩き回って体感する本作にふさわしい展示となっていた。
また、本展では「メディアとアート 明晰な幻:from Machine Art to Media Art」というテーマのもと、機械製品を芸術作品として提示したMoMA(ニューヨーク近代美術館)の「マシーン・アート」展(1934年)展示風景、機械美に魅せられたマルセル・デュシャンらの映像作品、現代の監視システムに警鐘を鳴らすルイス・ボルツの《夜警》(1992年)等も展示されている。
前衛美術が重工業の発達やその機能美に触発され、機械それ自体に芸術的価値を見出しはじめた20世紀初頭の出発点。その後1950年代以降、機械が「モノ」から情報テクノロジーといった形ないものへとシフトしてゆき、人間の可能性を拡張させると同時にそのネットワークの一部に取り込みもするようになるさま。更に、目に見えない「機械」と人間との相互的な関わりが日常化した今日の《Kage’s Nest》まで。重工業製品からメディア・テクノロジーへと至る「機械」と芸術をとりまくひとつの文脈を理解するうえでも意味深いラインナップだった。