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渡辺豊 展
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 10月 27日

画像提供:小山登美夫ギャラリー
Copyright © Yutaka Watanabe

【作品紹介】
渡辺 豊は、目には見えない何かの存在を感じる場所を設定し、視覚的な記憶の断片を画面の中に再構築して作品を制作します。2008年の府中ビエンナーレで発表したシリーズ「OO-PARTS」(「場違いな人工物」の意)では、住宅が取り壊されて突然現れた空き地に、コンクリートや板の壁などの構造物、そしてまるで生き物のように立ち上がっている木の枝のようなものが配置されました。「自然より人工物に囲まれ、テレビに映し出される世界を、目の前で起きている現実だと疑う事なく受け入れ、自然食品よりも着色料に浸かったものを好んで、超常現象やお化け・妖怪・未確認物、そして古代遺跡などの謎に興味を持ち、東京に育ちました。秩序の保たれた生活の中に、無秩序に氾濫する色彩・情報を見て育った私の絵画は、それらの過去を基軸としています」(府中ビエンナーレカタログより)と渡辺は語ります。  この渡辺のいう過去は画面のなかで様々な事物や風景となり、そこに虚実の混ざり合った異空間が立ち現れます。またそれぞれのモチーフや背景に与えられた、固有色とは異なる色彩、つまり現実からずらされた色は、わたしたちをこの異空間に誘い込むようです。「私の記憶の再構築が、観客の現実の再構築に繋がると、信じている」(上記同カタログより)。この渡辺の言葉は、彼の作品を前にしてわたしたちが感じる戸惑いは、想像の広がりにも結びついているということを気付かせてくれます。

【この展覧会について】
本展は、今年9月に栃木県の板倉温泉 大黒屋で開催された「残響の色 空気の輪郭」に出展された新旧のペインティングを中心に展示いたします。各自が自由に想像できるもの、という意味を込めた上記の展覧会では、既製品を使った立体作品という新しい試みが発表されました。すでに確定している色と形を組み合わせて制作されるこれらの立体作品を、渡辺はペインティングのためのドローイングのようなものとして位置づけています。その後に制作される新作ペインティングも数点展示いたします。常に新しい挑戦に取り組む渡辺の作品を是非ご高覧下さい。

【作家プロフィール】
渡辺 豊は1981年、東京都生まれ。2005年、武蔵野美術大学造形学部油絵科卒業。07年、同大学院修士課程油絵コース修了。08年3月、公募展「WONDER SEEDS」(トーキョーワンダーサイト渋谷にて展示)に入選しました。08年には、「第4回府中ビエンナーレ トゥルー・カラーズ/色をめぐる冒険」(府中市美術館、東京)に、09年には「モンブラン ヤング アーティスト パトロネージ イン ジャパン」(モンブラン銀座本店、東京)に出展。今年9月に板倉温泉 大黒屋で個展「残響の色 空気の輪郭」を開催しました。小山登美夫ギャラリーでは08年のグループ展、2009年の個展に続き、2度目の個展となります。

※全文提供: 小山登美夫ギャラリー


会期: 2010年11月6日(土)-2010年12月11日(土)11:00-19:00|日・月・祝休

最終更新 2010年 11月 06日
 

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