林 勇気（はやしゆうき/ｂ.1976年）は、関西を拠点に活動する映像作家です。日常の風景を素材に、自身で撮影した膨大な量の写真をパソコンに取り込み、切り抜き、重ね合わせることでアニメーションを制作し、国内外の美術展や映画祭などにも出品するなど着実に活躍の場を広げ、次世代を担う映像作家として注目を集めています。

身の回りの風景やイメージを集積し再構築して作り出される映像は、データがディスクやメモリに保存されるように、記録され蓄積された様々な日常の風景やイメージの断片のどこかとどこか、いつかといつかが重なり合い、現実世界とかすかにつながっているもうひとつの世界の景色です。

独特の静寂感と簡略化された情景、終末感と何度でも再生可能な世界。行き着く先もなく淡々とループする映像は、どこかテレビゲームのような虚構の世界のようですが、映像に散りばめられた世界の断片はどれもリアルで温かみを感じます。それは作家が時間や空間と対話を繰り返し、見たり、聞いたり、経験した記憶の層でもあり、重なり余韻を残しながら繰り返され、再び現実世界と共振しており、インターネットやテレビゲームを通過した、現代の世界との繋がり方や関わり方を提示しているかのようです。

神戸初個展となる本展では、映像作品3点を中心とした新作「the world and fragments of the world」を中心にご紹介します。世界のかけらを手に、ただ奥へと進む先にはどのような景色があるのか―。是非、ご高覧ください。

林勇気／Yuki HAYASHI
1976年　京都生まれ
1997年 　映像の制作をはじめる
現在は宝塚大学講師。

主な個展
2010　 ギャラリー名芳洞 blanc（愛知）
2009　neutron tokyo（東京）
2008 ギャラリー揺（京都）、世田谷ものづくり学校 IID gallery（東京）
2007　 gallery neutron（京都）（’08、’09）
2004　 ギャラリー三条（京都） （’05、’06）

主なグループ展/映画祭
2010　 「イメージフォーラムフェスティバル」（新宿パークタワー/東京、京都ドイツ文化センター/京都、他）、「ふれて / みる」（中京大学 Cスクエア / 愛知）、「松代現代美術フェスティバル Asian Art Film Program」（研成美術館研成ホール、樋口邸 / 長野）　
2009 「Re:membering Next of Japan」（Doosan art center, Gallery loop /韓国）、「Mirage」（同志社大学京田辺キャンパス / 京都）、「白昼夢 Daydream」(愛知県美術館ギャラリー H, I 室 /愛知）
2008　 「DIGITAL MEDIA」（スペイン・バレンシア）
2007　 「トランスメディアーレ」（ドイツ・ベルリン）、「新進アーティストの発見in あいち」（愛知芸術文化センター / 愛知）、「イメージフォーラムフェスティバル」（新宿パークタワー/東京、北海道立近代美術館/北海道、他）
2006　 「AMUSE ART JAM」（京都文化博物館 / 京都）、「イメージフォーラムフェスティバル」(新宿パークタワー/東京、愛知県芸術文化センター/愛知、他）、「トロント・リール・アジアン国際映画祭」(カナダ）
2005　 「裏・アートマップ」（京都芸術センター / 京都）、「PLOP ASIA TOUR」（Agnes b CINEMA! / 香港、他）
2004 「アウト ザ ウインドウ」（国際交流基金フォーラム /東京、Project Space ZIP / 韓国）、「透過する音楽」(京都芸術センター / 京都）、「バルセロナアジア映画祭」（スペイン）、「ニッポン　コネクション」（ドイツ・フランクフルト）
2003 「STARTART001」（細見美術館 / 京都）、「香港国際映画祭」(香港）、「アジアン・アメリカ国際映画祭」（アメリカ）、「ナッシュビル国際映画祭」（アメリカ）
2002 「イメージフォーラムフェスティバル」（新宿パークタワー / 東京、横浜美術館 / 神奈川、他）、「バンクーバー国際映画祭」(カナダ）

主な受賞
2006　「トロント・リール・アジアン国際映画祭」Wallace Most Innovative Film or Video Production Award受賞、「AMUSE ART JAM」 準グランプリ 受賞
2002 「イメージフォーラムフェスティバル」 審査員特別賞受賞

※全文提供：　ギャラリーヤマキファインアート

会期：　2010年11月6日（土）－2010年12月4日（土）
レセプション：　2010年11月6日（土）17：00～