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金田勝一:メイドオブプラスチック
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 10月 13日

《Human’s Own Evo 4 (021)》2010年
107x38x40cm|Acrylic urethane paint, Decal, FRP
画像提供:東京画廊+BTAP|東京

日本での個展開催は4年ぶりとなる本展では、幅5.4mの大きなペインティング作品を含む、新作平面・立体作品約10点を中心に展示されます。

金田勝一は1970年京都府生まれ。1995年に京都市立芸術大学美術研究科(絵画専攻)修了後、京都を拠点に制作活動を行っています。2009年からは京都市立芸術大学で油画の教鞭も取っています。

今の時代を記録し続けている金田が描くのは、自身が生活する京都郊外で起きている現代の物語や風景です。金田が、自身を取り巻く「環境」を記録するのは、それが自分のものの見方・考え方、作品、言語、アイデンティティを決定しているからです。金田は自身のイギリスでの留学生活を通じて、絵を描く時のセオリーや素材の特質、ものの見方といったものは、その場所が持つ文化や教育に合ったものとして発生し、環境に合わせて変化していくということを強く感じたと言います。

金田自身の創作の原点は、幼少期に没頭したプラモデル工作の体験です。その体験を起点として、「メイドオブプラスチック」な自分を作っている環境を具現化します。さらに、自分自身の作品に対して「なぜこの作品はこのように表現されているのか」という問いを通じて向き合い、その国のその環境でしか生まれ得ない表現方法や、油彩画・岩彩画という構造やものの捉え方、考え方を問い直し、自身にとってのリアリティを問い続けます。

作品表面の艶やかな色の豊かさが印象的な金田の作品は、絵画、立体ともにFRP/樹脂を支持体とし、油絵具やニス、アクリルラッカー、自動車用塗料やデカール、サーフェーサーなど、異なる素材を巧みに組み合わせることで生み出されています。素材そのものが持つイメージをも利用し、それらを記号として選択しながら並べていくことによって鑑賞者のイメージを操作し、描くことと同様の効果をもたらします。

ペインティングでは、一見車のボンネットのように仕上げられた画面に、金田が日常の中で目にし体験したモチーフが画面全体にダイナミックに再構成されています。F-1のサメをモチーフにした作品が印象深い立体のシリーズ《Human’s Own》は、元々「人間という動物の性質を考える」という作業からスタートしたもので、利益を求めてスピード社会を走り続ける人間の本質を、止まると死ぬサメおよびスピードの象徴であるF-1マシンの形を通して表現しており、我々が住む日常のリアリティが記録されています。本展では、シリーズ新作となる《Human's Own EVO 7》が展示されます。

私たちを形作るものは何であるのか。私たちの行いの果てに何があるのか。今の時代を切り取りながら、見るということの本質を問い続けている金田勝一の作品を、この機会にぜひご高覧ください。

金田勝一
1970年 京都府生まれ
1993年 京都市立芸術大学美術学部(油画専攻)卒業
1994年 ロイヤルカレッジオブアーツ(アニメーション科)交換留学
1995年 京都市立芸術大学大学院美術研究科(絵画専攻)修了

個展
1993年 「ポリエステルギャングスター」 ギャラリーココ<京都>、「ジャパニーズプラスチックボクサー」 voiceギャラリー<京都>、「金田勝一展」ギャラリーココ
1996年 「金田勝一展」 ギャラリーココ<京都>
1999年 Saison Art Program「ART-ING TOKYO 1999:21X21」 Gallery K<東京>
2000年 彦坂尚嘉賞 反ニヒリズム絵画の簫白的正当性 「金田勝一展」東京画廊<東京>、「金田勝一展」東京画廊<東京>
2001年 「金田勝一展」 ギャラリーココ<京都>
2005年 「SHOWICHI KANEDA -Recent Works-」 Galery Frank Schlag & Cie<ドイツ、エッセン>
2006年 「プラモ風景画展」東京画廊 <東京>、「DROP EVO 3」戸村画廊 <東京>
2009年 「Plastic Model of Landscapes」Galery Frank Schlag & Cie<ドイツ、エッセン>
2010年 「メイドオブプラスチック」 東京画廊+BTAP <東京>

グループ展
1993年 「京都市立芸術大学卒業作品展」市長賞 京都市美術館<京都>、「ニューフェイス」ギャラリーview<大阪>、「アートジャンクション」四条川原町阪急デパート1Fショーウィンドウ<京都>、「動くロマンティシズム」ギャラリーココ<京都>
1995年 「風刺、滑稽、新しい笑いとその教訓」ギャラリーマロニエ<京都>、「新鋭作家選抜展」京都市美術館<京都>、「支持体という表裏」ギャラリーココ<京都>、「絵画とその変異体-体験された今」京都市四条ギャラリー<京都>
1996年 「ソニーアートビジネスオーディション」大貫卓也賞 ラフォーレ原宿<東京>
1998年 「10周年記念英国ロンドンR.A.C.交換留学生展」京都四条ギャラリー<京都>
1999年 「VOCA’99」上野の森美術館<東京>、「性能/反応」ギャラリー16<東京>
2001年 「ドローイング展」ギャラリーそわか<京都>
2002年 「eleven&eleven Korea Japan Contemporary Arts 2002」省谷美術館<韓国、ソウル>、「Bit展」東京画廊<東京>
2003年 「Premonition -M-」, 大阪成蹊学園<京都>、「Link Between 2 points」東京画廊<東京>
2004年 「Illusion展」香港美術館/広州美術館<中国>、「Fiction.@Love - Ultra New Vision in Contemporary Art」台北現代美術館<台湾、台北>
2006年 「Fantasy Island- exhibition Robinson」 MAMA, <オランダ、ロッテルダム>、「Fiction @ Love」上海現代美術館 <中国、上海>、Living Furniture Project, 釜山ビエンナーレ2006 <韓国、プサン>
2007年 「aniManga / VIA07 Festival international」 <フランス>、「BTAP 5th Anniversary – Works in progress」東京画廊+BTAP <中国、北京>
2008年 「Milestones」東京画廊+BTAP <中国、北京>
2009年 「Animamix Biennale」上海現代美術館<中国、上海>
2010年 「Japanese Contemporary Artists」ギャラリーIHN<韓国、ソウル>

※全文提供: 東京画廊+BTAP|東京


会期: 2010年10月6日(水)-2010年10月31日(日)

最終更新 2010年 10月 06日
 

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