| EN |

植松奎二:浮遊するものへのあこがれ
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 9月 30日

Photo:Pendule de Foucault, Le Pantheon, Paris
画像提供:ギャラリーヤマキファインアート

植松奎二(1947-)は、関西とドイツのデュッセルドルフを拠点に、国際的な活躍を続けている彫刻家です。1969年の初個展以降、重力、引力といった目には見えない普遍的な力をテーマに作品を制作し、旺盛な創作活動で高い評価を得てきました。その作品は、金属、石、木など素材を時として多彩に配置し、空間に異化を生み出すことで、重力や引力といった目には見えない力を顕著化し、見るものに想起させるものです。また近年は、宇宙の摂理や人間の存在など、より哲学的で象徴的な趣を深めています。本展では、新作による、浮遊の場、無重力、反重力の場を体感できる装置としてのインスタレーョンを紹介します。

「僕は以前から根源的なものや、原初的なもの、宇宙的な力に対する素朴な関心があった。それらは自然や地球,宇宙といった大いなるものに囲まれている人間存在に対する関心に通じるものがある。物の構造と地球の存在そのもの、人間の存在そのものにかかわる重力や引力という普遍的な見えない力の法則から、世界の構造、存在、関係をよりあらわに見えるようにして何かを発見したい、新しい意義を見いだしたい、人間と人間との関係をつくり出していきたいと思いながらいつも制作している。―僕達の感覚の根底には無意識のうちに重力感覚がある。その重力、引力というものがこの地球に存在しなければ 我々は生きていくことが出来ない。が、我々は昔から浮遊するもの、飛ぶものに 重力から解き放たれることにあこがれてきた―」

と語るように、本展では空間に目には見えない重力を目で確かめることのできる浮遊のかたち、重力のかたち、私達の持っている常識的視覚を覆す、知覚を超えた発見の場を空間の中に作り出す試みとなります。

植松の作品を通し、普段は意識することのない地球の重力や引力を体感すると同時に、重力から解き放たれた物質の存在を感じていただければ幸いです。

植松奎二/Keiji Uematsu
1947年神戸市生まれ。 1969年神戸大学教育学部美術科卒業。
現在、大阪とデュッセルドルフにアトリエを構え、制作と発表を続けている。

主な個展
2006 「時間の庭へ」西宮市大谷記念美術館/西宮
2005 「Axis – Latitude – Longitude」マールカステン美術家協会/デュッセルドルフ, ドイツ
2003 「身体と眼差しへの思考, ‘70sの写真・映像から新作まで」北九州市立美術館/福岡、「地軸の傾きから」 国際芸術センター/青森
1997 「知覚を超えてあるもの」西宮市大谷記念美術館/西宮
1984 「布と枝による構成」 ロッテルダム市立現代美術センター/オランダ
1981 今日の作家シリーズ「植松奎二展立体と写真」大阪府立現代美術センター/大阪
1980-81「軸 – 経度 – 緯度」 P.S.1.ニューヨーク/アメリカ
1977 アウスシュニッテ1「植松奎二」デュッセルドルフ市立近代美術館/ドイツ

主な国際展
2009 神戸ビエンナーレ Kobe Biennale 2009 -港で出会う芸術祭ー神戸港
2000 大地の芸術祭・越後妻有アート・トリエンナーレ2000(松之山町/新潟)
1994  3rd 北九州ビエンナーレ(北九州市立美術館/福岡)
1988 第43回ヴェネツィア・ビエンナーレ, 日本館(ジャルテーニ・ティ・カステーロ/イタリア)

受賞
1999 第6回朝来2001野外彫刻展in多々良木 ’99 大賞
1998 第22回井植文化賞(文化芸術部門)
1997 中原悌二郎賞優秀賞、第17回現代日本彫刻展 宇部興産創業100周年記念賞 兵庫県立近代美術館賞
1995 第16回現代日本彫刻展 宇部興産株式会社賞
1993 第15回現代日本彫刻展、宇部興産株式会社賞 神奈川県立近代美術館賞
1990 第12回神戸須磨離宮公園現代彫刻大賞受賞
1974 神戸市文化奨励賞
1973 第8回ジャパンアートフェステイバル 優秀賞

※全文提供: ギャラリーヤマキファインアート


会期: 2010年9月17日(金)-2010年10月22日(金)

最終更新 2010年 9月 17日
 

関連情報


| EN |