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小川美緒:FAMILYFORM
編集部ノート
執筆: 平田 剛志   
公開日: 2010年 9月 29日

カメラを構えた3人の女性。それぞれ等身大サイズの長方形プリントで展示されている。だが同一人物ではない。小川自身と母、姉が同じ服を着て、同じポーズのもとに撮影されたポートレイト写真なのだ。

カメラを鑑賞者へとまっすぐ構える彼女たちの姿は、挑戦的とも言える意思が見える。だが、その背後には本棚や室内に干された洗濯物、床にはぬいぐるみなどの物が雑然と見え、カメラを構える者の背後や身の回りの現実を曝け出す。それは、作家自身の部屋なのだ。

他の作品に同じ服やドレスを着て、顔にブランド品のバッグや紙袋を被ったポートレイトが並ぶ。母と姉妹による女だけの家庭の中で、それぞれが服を変え、立場を変える。その佇まいに顔が見えないながらも、家族であることのつながりが見えてくる。

今展が初個展となる小川美緒。彼女が構えたカメラは、今度は何を写すのか。カメラを向けられた私は、そのレンズの向かう先を見ていきたい。

最終更新 2015年 10月 31日
 

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