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前衛★R70展
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 9月 02日

赤瀬川 原平 | 日々是現実 | カラープリント
Copyright © Genpei Akasegawa/ギャラリー58

戦後、前衛美術の先駆者として日本の美術界を切り拓き、現在も旺盛な活動を続ける、70歳以上の美術家6人による新作展を開催いたします。 R70の「R」は「Restrict=制限」の頭文字、つまりR18指定(18歳未満禁止)ならぬ、 70歳未満禁止=70歳以上だけが参加できる展覧会です。

展示する作品は全て、2010年制作の、未発表最新作です。
赤瀬川原平は、和紙にプリントした写真と、ことばを組み合わせた平面作品、
秋山祐徳太子は、「キリストダリコ」「ダリコ仏」ほかブリキ彫刻作品、
池田龍雄は、この数年のテーマである「場の位相」の絵画作品、
田中信太郎は、紙にコラージュの平面作品、
中村宏は、セーラー服の女学生と機関車を描いた絵画作品、
吉野辰海は、「象少女」の立体作品とドローイングを展示いたします。
また、全員同じA5サイズのドローイングを6点一同に展示いたします。

プロフィール

赤瀬川 原平 Akasegawa Genpei
1937年神奈川県生まれ。1955年武蔵野美術学校(現武蔵野美術大学)油絵科入学。1960年に吉村益信、篠原有司男らとネオ・ ダダイズム・オルガナイザーズを、1963年に高松次郎、中西夏之とハイ・レッド・センターを結成。1966年千円札を題材とした作 品で千円札裁判が開廷、"芸術裁判"と呼ばれる。1981年『父が消えた』(文藝春秋)で第84回芥川賞を受賞。1998年『老人 力』(筑摩書房)はベストセラーとなり、その年の流行語となる。1992年 秋山祐徳太子、高梨豊と「ライカ同盟」結成。1995年「赤瀬川原平の冒険:脳内リゾート開発大作戦」(名古屋市美術館)。路上観察学会会員。

秋山 祐徳太子  Akiyama Yutokutaishi
1935年東京都生まれ。1960年武蔵野美術学校(現武蔵野美術大学)彫刻科卒業。ランニングに短パン姿で日の丸を背負い、グリコの マークそのままに疾走する「ダリコ」をはじめ、ポップ・ハプニングと称する数々のパフォーマンスを展開。1970年代よりブリキによる彫 刻作品を発表。1975年と79年の2度にわたり、政治のポップ・アート化を目指して東京都知事選挙に立候補する。このときのポスターは 現代美術作品として国立国際美術館などに収蔵されている。1994年「秋山祐徳太子の世界展」(池田20世紀美術館)。1992年 赤瀬川原平、高梨豊と「ライカ同盟」結成。見世物学会理事。

池田 龍雄  Ikeda Tatsuo
1928年佐賀県生まれ。特攻隊員として17歳で敗戦を迎える。1948年多摩造形芸術専門学校(現多摩美術大学)入学。まもなく岡本太 郎らのアヴァンギャルド芸術運動に参加。1950年代よりルポルタージュ絵画やペン画による数多くのシリーズを展開。壮大なる宇宙と生命 を描いた連作「BRAHMAN」を15年にわたって発表、現在も「場の位相」シリーズほか旺盛な制作活動を続ける。公演や文筆活動も行 い、戦後美術の生き証人の一人となっている。2010年「池田龍雄アヴァンギャルドの軌跡」(山梨県立美術館、のち川崎市岡本太郎美術 館、福岡県立美術館に巡回)。

田中 信太郎  Tanaka Shintaro
1940年東京都生まれ。1958年フォルム洋画研究所に学ぶ。1960年 ネオ・ダダイズム・オルガナイザーズのメンバーとして活動。1965年の初個展を境にミニマルな作品へと大きな変革を遂げる。1969年第6回パリ青年美 術家ビエンナーレ(パリ市立近代美術館)。1971年第11回サンパウロ・ビエンナーレ(ブラジル)。1972年第36回ヴェネチアビエ ンナーレ。2001年「田中信太郎|饒舌と沈黙のカノン」(国立国際美術館)、第10回インド・ビエンナーレ(インド)。2007年「国 立新美術館開館記念展 20世紀美術探検-アーティストたちの三つの冒険物語-」(国立新美術館)。

中村 宏  Nakamura Hiroshi
1932年静岡県生まれ。1951年日本大学芸術学部美術学科入学。1950年代よりルポルタージュ絵画で注目を集める。蒸気機関車 やセーラー服姿の女学生、車窓などをモチーフにしたモンタージュ作品を発表。戦後日本の世相や社会状況を鋭く映し出した制作活動は高 く評価されている。黄色と黒のストライプや記号、線、ダイヤグラムを組み込み図鑑的要素を盛り込んだ作品を展開。装丁やデザインなど グラフィックの仕事も多数手がける。2007年「中村宏|図画事件1953-2007」(東京都現代美術館、名古屋市美術館)。 2010年「タブロオ・マシン-中村宏の絵画と模型」(練馬区立美術館)。

吉野 辰海  Yoshino Tatsumi
1940年宮城県生まれ。1959年武蔵野美術学校油絵科入学。1960年ネオ・ダダイズム・オルガナイザーズのメンバーとして活動。 1980年代より、体や顔のねじれた犬、双頭・多頭の犬など、どこか悲しげでいてユーモラスな、怪異にデフォルメされた「犬」の立体作品 シリーズを発表。全 ての物質にある螺旋(SCREW)運動を具現化した彫刻作品を数多く展開。近 年は、痩せた未成熟の少女の体に、象の顔と犬を組み合わせた「象少女」シリーズを展開している。2002年「熊本市現代美術館開館記念 展:アティチュード2002」(熊本市現代美術館)。2007年「六本木クロッシング2007:未来への脈動」(森美術館)。

全文提供: ギャラリー58


会期: 2010年9月13日(月)-2010年10月2日(土)

最終更新 2010年 9月 13日
 

編集部ノート    執筆:平田 剛志


とかく現代美術は「新しさ」が好まれる。なるほど新しい表現、新しい作家の登場は歓迎すべきことであるには違いない。だが、年齢を加えていくことで表現を深化させていくベテラン作家たちの発表もまた看過することはできないだろう。

そんな中、銀座のGallery 58において開催されたのが70歳未満出品不可、完全最新作による<前衛★R70展>だ。出品作家は赤瀬川原平、秋山祐徳太子、池田龍雄、田中信太郎、中村宏、吉野辰海の6名。日本の現代美術を語る上で欠かすことのできない作家たちが揃い、現役ぶりを見せてくれる。

敬老の日は過ぎたが、70歳を超えてなおも創造性豊かな現役作家たちの長寿を願いたい。


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