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Cheer up!元気になる美術(アート)-原美術館コレクションより
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 8月 30日

森弘治「美術のための応援」2006年
画像提供:ハラ ミュージアム アーク|Copyright © Hiroharu Mori

美術館には、日常とは少し違った、さまざまな発見や楽しみがあります。名画に心奪われたり、新しい表現との出会いに気持ちが高揚したり、画面に描かれた小さなポイントに共感して涙したり・・・といった作品を前にした時の感動はもとより、美術館という空間が持つ独特な雰囲気に浸るうちに心にじんわりと満ちてくる幸福感や、展覧会の観賞後にカフェで親しい人とお茶を飲みながら作品について語り合うひとときの安息感、思い出の品やお土産をミュージアムショップで探すときの楽しさ・・・そういった、心が癒され少し豊かになる時間を求めて、私たちは美術館に足を運ぶのでしょう。

さて、この秋のハラ ミュージアム アークでは、仕事・勉強・人間関係といったさまざまなストレスを抱えた現代社会を生きる私たちが、少し疲れているときや、かなしいことがあったとき、私たちを勇気づけ、元気にしてくれる―そんなビタミン剤のような不思議なパワーを持った作品の数々を、原美術館のコレクションより、選りすぐってご紹介してゆきます。

このたび初公開となる最新収蔵の大作、ミカレーン トーマスの『Mama Bush: One of a kind Two』は、新古典主義の巨匠・ドミニク アングルによる『オダリスク』の寵姫を黒人女性に置き換え、ラインストーンで華やかな彩りを添えながら、美・人種・フェミニズムといった視点から問題提起する作品です。近年、ニューヨーク近代美術館などの大舞台で、目覚ましい活躍を続ける作家による力強い表現を、ご堪能ください。

森弘治の映像作品『美術のための応援』は、応援団の面々が、アートに対して真摯でパワフルな励ましを繰り返す、ウィットに富んだ作品です。横尾忠則の『戦後』では、焼け野原の悲惨な光景の上に「歌姫」と呼ばれた美空ひばりや笠木志津子の姿が投影され、作家をはじめとする戦後の時代を生きた人たちの、希望のともしびを感じさせます。また、ミランダ ジュライの『廊下』には、数々の言葉が散りばめられています。細長い廊下を進みながらそれらをかみしめるうちに、私たちは、人生の厳しさと向き合う自分の背中を、そっと押してくれる誰かの存在に気付くことでしょう。ジョナサン ボロフスキーの『Art is for the Spirit』は、原美術館のコレクションの基本方針を象徴した作品でもあります。アートは私たちの心のためにある―「Cheer up! 元気になる美術(アート)」展で、実りの秋をお楽しみください。

出品作家
カレル アペル/草間彌生/ジム ランビー/ジョナサン ボロフスキー/ミカレーン トーマス/ミランダ ジュライ/森弘治/横尾忠則 ほか

全文提供: ハラ ミュージアム アーク


会期: 2010年9月11日(土)-2010年12月5日(日)

最終更新 2010年 9月 11日
 

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