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安藤陽子:ポートレイト静かな光
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 8月 24日

《portrait -12》2009年|1000mm ×803mm|絹本彩色
画像提供:INAXギャラリー|Copyright © Yoko Ando

陽射しが強くまぶしくてはっきりと見えない顔、水鏡に映ったように透明感に包まれた顔、顔、顔。安藤陽子の作品は、顔だけが描かれたポートレイトです。逆光や強い反射光を浴び、どの顔もハレーションを起こしています。絹布に顔料を使って描かれていますが、顔料が染み込むために、輪郭は滲んで朧になり、消え入りそうな、濡れたガラス越しに見ているような不思議な印象を与えます。圧倒的に静かで清らかな雰囲気をたたえながら、描かれた眼差しは透き通り、見る者を射抜くよう な迫力のある作品です。

安藤陽子は美大時代からこうしたポートレイトを描いてきました。絹布が湿気や天候によって大きく変化したり、絵の具の滲み方が変化したりと、自然の力と一体化しているような素材感に深い魅力を感じています。

ポートレイトはそれぞれ顔かたちは違っても、穏やかな表情やふっと力が抜けた瞬間の雰囲気が似ています。モデルは知人から始まり、描いているうちに安藤自身の想いを投影するものへと変わり、クローズアップした顔かたちのみとなって、より想いが感じられる凝縮したスタイルになりました。2007 年「追憶」シリーズではその人と過ごした時間を思い出して、懐かしむような感じで描いていましたが、2009年「青」シリーズでは、現在と同時にその人の未来を想像しながら、想いも託して描くようになりました。そのことによって、写真を見て描いていた自然な表情に、どこか夢見心地のような表情が加わり、作品全体がまるでどこまでも広く、静かな場所を眺めているような心地よいものになりました。

今展では新作を含めた約10点が発表されます。東京では初めての個展開催です。

安藤陽子プロフィール
1979年長野県安曇野市生まれ
2005年愛知県芸術大学大学院日本画研究科修了

個展
2009年「青」ギャラリー芽楽、名古屋、NODA CONTEMPORARY、名古屋
2007年「追憶」ギャラリー芽楽、名古屋
2006年「timeless」ギャラリー芽楽、名古屋

主なグループ展
2009~2010年「萌の会日本画展」松坂屋美術画廊、名古屋、東京、大丸美術画廊、大阪、京都
2005年「第12回勢の会日本画」松坂屋美術画廊、名古屋
2004年「第11回勢の会日本画」松坂屋美術画廊、名古屋
2002年「A-fam展」Gallery Kubota、東京

受賞歴
2008年シェル美術賞2008年入選
2003年第88回秋の院展入選

※全文提供: INAXギャラリー


会期: 2010年9月1日(水)-2010年9月28日(火)

最終更新 2010年 9月 01日
 

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