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松本央:現(うつつ)の果て
Editor's Note
Written by Takeshi HIRATA   
Published: August 06 2010
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108人の自画像を描いた個展「無常の空間―108人の自画像―」(2010年6月22日~7月15日)に続く松本の連続個展の2回目。赤ん坊から子を身ごもる松本の自画像までが円環するように展示され、自画像をテーマとする松本の世界観が凝縮されている。だが、自身では描くことができないはずの赤ん坊や子を生むことができない男性である松本の妊婦像が描かれるなど、自画像の概念は拡張されている。それは、自身が自身を描き続けることで生まれる自画像という名の作品(子ども)を慈しむような世界観なのかもしれない。

松本は学生時代から現在まで自画像を描き続けているが、今展ではサングラスをかけたスーツ姿の男性2人が開け放たれたドアの前に立ちふさがる『Gate of H 』(2010)が新展開を予感させる。他の自画像では目が描かれているため、表情が優しく温和に感じるのに対し、今作品はサングラスをかけて目が見えないため睨まれている(見られている)と感じる。自画像における目の不在が及ぼす心理的な効果が興味深い。

Last Updated on October 31 2015
 

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