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呉亜沙:The Unknown
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 8月 01日

画像提供: 不忍画廊|Copyright © Asa Go

呉亜沙(ご あさ 1978~ )は、ウサギや少女をモチーフにして他者との関わりから自分のアイデンティティーを探求し、自身の内面的世界を作品に描くアーティストです。

当画廊で約3年ぶりとなる今回の個展のテーマは “The Unknown”(知られていない人)。『expected identity』(予期されたアイデンティティー)と題された5点の油彩連作では、彼女が妊娠・出産を控えている時に感じた、「人は胎児の時点からすでに国籍や両親・出生地など、すでに予期されたアイデンティティーを持ち合わせている」という思いを作品にしています。

その他にも(胎内の)子どもと一心同体で、同じ経験を共有したことから着想を得たガラス絵の連作や、出産して新しい命を目の当たりにしたときの「・・・自分から分裂して生まれた存在でも、私ではない」という気持ちをもとに制作した油彩やドローイングを発表します。

結婚~妊娠~出産という、人生でもっとも重要な時に感じた思いを、どのようにして作品として表現し得たのか。ぜひ、ご高覧ください。

作家コメント
今までやってきた、他者との関わりを通して自己のアイデンティティーを探求するというテーマから考えると、今回の妊娠、出産という経験は「存在」をダイレクトに感じる経験であったし、「他者」という考え方においても自分から分裂して生まれた存在でも、私ではない、というとても不思議な体験をしました。

「expected identity」・・・人は胎児の時点からすでに国籍や両親、出生地など、すでに予期されたアイデンティティーを持ち合わせているという事、その曖昧な存在の世界を描こうと思いました。それらが「expected identity」というタイトルの作品達です。

実際に新しい命を目の当たりにして、この子は何者なのだろう?ととても不思議な気持ちになりました。すでに名前や国籍など色々なアイデンティティーを持ち合わせているのに、それらがとても陳腐にさえ思えたのです。これがまっさらな状態なのかな、と思いました。この特殊な時期を経て、世代の事や、生き物として、女性として、社会のことなど、思う事、感じる事が沢山ありました。

まだそれらをまとめきれていませんが、今回の個展では妊娠期間に考えていた「expected identity」と一心同体の身体で同じ経験を共有した所から描いたガラス絵シリーズ、そして出産で感じた率直な不思議な気持ちを作品にして展覧会に出したいと思っています。

今回の展覧会を通して、なんとも言えない今の気持を整理していければ、と思っています。

※全文提供: 不忍画廊


会期: 2010年8月2日(月)-2010年8月28日(土)

最終更新 2010年 8月 02日
 

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