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10days セレクション-予兆のかたち11-:吉村熊象
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 7月 12日

Dressing Down photo:(c)Kumazou Yoshimura 2009 Courtesy of TARO NASU

白地に赤い水玉模様のワンピースが空中に浮かんでいる。とつぜん、コトン!とワンピースが振動し、10センチほど落下する。ふとその下を見ると、赤い小さな点々が降り積もり、散らばっている。まるで水玉模様がワンピースからパラパラと振るい落とされて、転がっているかのように・・・

吉村熊象は、日常のモノや出来事の中にひそむ無意識な感覚や既成概念を、ウイットに富んだ手法で軽やかに転換して見せます。インスタレーション「Dressing Down」では、モーターで振動させたワンピースの下に赤い水玉を散乱させることで、可愛らしいイメージが一転して事件を感じさせるような情景をつくり出し、イメージの拠る概念の不確かさを表現しています。

「祝日ワンピース」は4.5mの長さの白地に赤い水玉のノースリーブのワンピースで、拡大されることで休日の楽しさが増幅されたかのような明るく爽快な作品です。この作品もたくさんの日本国旗が振られている場面からインスパイアされ、実は国旗をはぎ合わせることでつくられています。ひまわり畑写真のジグソーパズルのピース1枚がくるくるとモーターで回転すると、虹のような残像が残る「虹のレシピ」。人間が捉えた風景のスケールがダウンして、切り刻んだピースの中に新たな小さな風景が生まれます。蟻の目で見たひまわり畑は、と考えてつくられた作品は、盛夏の太陽や空気が凝縮して、スケールダウンしても変わらないことを感じさせます。

大学の工学部でデザイン文化計画を学んだ吉村は、当時の万人に受け入れられるためのデザインの考え方に疑問を持ち、美術作品をつくりはじめます。ガラスを学んだ後、京都芸大大学院へ進み、無意識に見過ごされている認識に光を当てたいという一貫した視線で、ユーモアと透明感あふれる作品を発表してきました。今点では、「Dressing Down」、「虹のレシピ」ほか新作を展示する予定です。ぜひ会場でご覧ください。

吉村熊象
1978 大阪府生まれ
2002 千葉大学工学部デザイン工学科卒業
2008 富山ガラス造形研究所造形科卒業
2010 京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程修了

個展
2005 「個集積」吹田歴史文化まちづくりセンター(大阪)
2009 「風景な風景」PANTALOON(大阪)
2010 「グッバイカモフラージュ」room A.(大阪)

グループ展
2006 「P&E 2006」アートコートギャラリー(大阪)
2008 「第一回ガラス教育機関合同作品展」東京都美術館(東京)
2009 「トーキョーワンダーウォール2009」東京都現代美術館(東京)
「out of place」旧嵯峨御所大覚寺門跡(京都)
「Art Camp 2009」ギャラリーヤマグチクンストバウ(大阪)
「Art Camp 2009 サントリー賞受賞特別展-薄い皮膚」サントリーミュージアム[天保山](大阪)
2010 「one room 5」京都嵯峨芸術大学(京都)
「stay with art+ AC2010」HOTEL T'POINT(大阪)

受賞歴
2004 古民家まるごとアートまるかじり展準大賞
2008 富山ガラス造形研究所卒業制作展優秀賞(買い上げ)
2009 京都市立芸術大学作品展奨励賞
Art Camp 2009 サントリー賞
2010 京都市立芸術大学作品展大学院市長賞

※全文提供: INAX ギャラリー


会期: 2010年8月2日(月)-2010年8月11日(水)

最終更新 2010年 8月 02日
 

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