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菊池伶司 展
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 7月 11日

《Alligator Message》1968年|銅版画|42x37cm
画像提供: ギャルリー東京ユマニテ
Copyright © Reiji Kikuchi

菊池伶司(きくちれいじ1946-1968)は40 年以上前に22 歳という若さで亡くなった銅版画家です。最後の2 年間におおよそ60点余りの作品を制作し、「第36回日本版画協会展」で新人賞、「第3 回ジャパンアートフェスティバル(国際芸術見本市)」、「第12 回シェル美術賞展」などに入選し注目を集めました。

90 年代以降には町田市国際版画美術館、練馬区立美術館などで展覧会が行われ、2007 年にはNHKTV「新日曜美術館」で紹介。同年「菊池伶司版と言葉」(堀江敏幸、加藤清美、柄澤齊共著・平凡社)が刊行され、大きな反響を呼びました。

菊池は、子供の頃から病弱で入退院を繰り返す生活の中、銅版画に出会い、上智大学に進んだ後も中退し銅版画の制作に没頭していきました。菊池の作品イメージには人体解剖図や検査に使う計測器、医師が書くカルテの文字を思わせるものが多く出てきます。それは、彼が日常目にした風景ですが、生への強い意志が画面に残された痕跡として作品から見てとれます。60 年代後期、アートシーンも時代の変化を大きく受け止めた時代、一人の若き銅版画家の仕事として大きな意味を持っているといえます。

今回の展覧会では、ご遺族の意向で手元に残された38 種類59 点の作品を展覧販売いたします。本展の出品作は、没後1969 年に東京店大阪フォルム画廊で開催された「菊池怜司銅版画遺作展」出品のために、遺族監修の元で刷られた作品ですが、その際ご遺族のために残された作品を販売させていただくもので、ご遺族からの菊池作品は今回が最後の展示となり、菊池の仕事をほぼ網羅する展示となります。現在も尚、多くのファンを持つ菊池の銅版画の世界。この機会にお見逃しなく是非ご高覧下さい。

菊池伶司 (きくち・れいじ)
1946 父の赴任地、北朝鮮興南市に生まれる。4 ヶ月後に引揚げ船で帰国。
1965 早稲田大学高等学校卒業後、上智大学経済学部入学。同校、美術研究会に入会。
1967~日本美術家連盟版画工房にて、銅版画家加藤清美などに銅版画を学ぶ。
1968 銅版画制作に専念するため大学を中退。
3 月 第36 回日本版画協会展に「Alligator Message」「Finger Sample」を出品。新人賞受賞
4 月 第3 回ジャパンアートフェスティバル(国際芸術見本市)に「Alligator Message」「Lecture」が入選。
8 月 第12 回シェル美術賞展に「Writing-Lecture」、「Writing-Process」を出品。三等入選。
10 月 尿毒症のため、東京女子医科大学病院にて死去。享年22 歳。
1969 「菊池伶司銅版画遺作展」東京店大阪フォルム画廊
1978 「菊池伶司遺作版画展」かんらん舎(東京)
1990~ 町田市国際版画美術館へ銅版原版、オリジナル作品が寄贈、練馬区立美術館へ後刷り作品が寄贈。
それを受け、両美術館で開催された戦後版画を特集するグループ展に出品される。
2001 「清原啓子・菊池伶司 版画二人展」町田市国際版画美術館
「菊池伶司展」ギャラリー池田美術(東京)
2007 NHKTV「新日曜美術館」にて特集放映。

※全文提供:  ギャルリー東京ユマニテ


会期: 2010年9月6日(月)-2010年9月18日(土)

最終更新 2010年 9月 06日
 

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