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田中和人:GOLD SEES BLUE
編集部ノート
執筆: 平田 剛志   
公開日: 2010年 6月 15日

木漏れ日は何色に見えるだろうか。田中和人は金箔の透過光を用いて森を撮影し、絵画的、幻想的なブルーによって世界を満たす。

その展示は作品1点ずつが額に納められ、壁面の余白を生かしながらインスタレーションのように展示構成されている。写真を直に壁面に展示するのでもなく、アクリルマウントによるフラットな額装でもなく、明確に額という枠を必要とすること。それは、複数枚の組み写真が作りだすシークエンスではなく、個と集合によって空間に生み出される「森」のような展示空間である。木々から洩れる木漏れ日のように「光」は私たちを照らし、作品へと招き入れる媒介として存在している。

折しも私が訪れた時は窓から沈みゆく夕陽が空間に差し込んでいた。空間に満たされた写真の青い光と夕陽の橙の光。自然光と写真に定着された光が作り出す光の交差はピクチャレスクな光景として空間を満たしていた。訪れる時間によって異なる光があなたの訪れを待っていることだろう。

なお、ギャラリーが入居する築50年の増田屋ビルも味わい深く見どころが多い。さまざまなショップやカフェがあるが、古書籍好きな方には「砂の書」(http://www.sablelivre.com/)をお勧めしたい。

最終更新 2015年 11月 03日
 

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