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有坂ゆかり:数について
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 5月 26日

画像提供:言水制作室|© Yukari Arisaka

 

有坂ゆかりの絵画作品をはじめて見たとき、私はちょうど物理と数学の接点に関して調べものをしていたのだった。世界の発生時へと時空のメカニズムを遡っていくとき、物理と数学は一つのものになる。世界の源にあったと思われる真空では、極小の粒子が生成と消滅を繰り返していた。真空という呼び名とはうらはらに、ザワザワとざわめいていたらしい。有坂ゆかりの作品の、抽象とも具象ともとれる、淡くもあり濃密でもあり、また深みとも浅さともとれる奥行きをもつ画面には、静謐さと不穏さが共存していた。ざわめく真空、と私は思わずその作品を呼んでいた。物理と数学の境界が消えた世界のはじまりのその向こうの不穏な状態を描くならまさにこのような絵なのかも知れないと思ったのだった。
( 伴田良輔「ざわめく真空 有坂ゆかりの絵画」より )

※全文提供: 言水制作室


会期: 2010年5月17日-2010年5月29日

最終更新 2010年 5月 17日
 

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