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Art Court Frontier 2010 #8
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 5月 03日

画像提供:アートコートギャラリー

関西在住あるいはゆかりの若手を中心に、気鋭作家が競演するアニュアル企画「Art Court Frontier(アートコートフロンティア)」の8回目。本展は、美術界で活躍中のアーティスト、キュレーター、ジャーナリストや愛好家らが推薦者となり、出展作家を1名ずつ推挙し、ともにつくり上げる展覧会として2003年に始まったグループ展です。

今回は、柔らかい素材を用いた「動く彫刻」でダイナミックなインスタレーションを国内外で手掛ける大西康明(推薦:廣瀬就久)、写真や版画などの手法で日常にありふれたものを「おかしみ」で包み軽やかに新鮮なイメージを生み出していく田中朝子(推薦:横山広充)、生業である養蜂家と作家とを往来し自然体で表現活動を行う埋橋幸広(推薦:今村源)、鋭い感性で独自の「美術」を形象化していく木内貴志(推薦者:荒川昭男)など。

作家一人一人が全身で創造行為へと投じるエネルギーと、その生き様までもがにじみ出る強度をもった作品が並びます。今後の活躍がますます楽しみなフロンティア作家による「関西の現在」をどうぞお見逃しなく! ご期待ください。

※全文提供: アートコートギャラリー


会期: 2010年6月25日-2010年7月24日

最終更新 2010年 6月 25日
 

編集部ノート    執筆:平田剛志


アーティスト、キュレーター、ジャーナリストなどが推薦者となり、関西在住あるいは関西にゆかりのある作家を推挙するアニュアル企画展の8回目。全国区の公募展や推薦展とは異なり、本展のようにローカルな場に着目した企画の方が作家や作品の時代性、関西アートシーンの現状が見えてくる。

出品作品は多様な現代美術の状況を反映して、実に多彩である。内田文武の絵画とサウンド作品、森末由美子の本を素材とした立体作品など、見どころ聞きどころが多い。本展のハイライトとも言える特殊なインスタレーションに注目してみると、ギャラリーの中庭にミツバチを養蜂するミツバチ・インスタレーションの埋橋幸広(推薦者:今村源)、ニューヨーク6番街にあるロバート・インディアナの彫刻「LOVE」の隣に「愛」の字を象ったバルーン彫刻を設置するアトラクション・インスタレーションの佐川好弘(推薦者:江上ゆか)、「あなたのご自宅やお店などに飾るあなたの写真を、私と撮りませんか?」という問いかけ始まる対話型アートプロジェクト『そん‐りつ【存立】[名]スル 存在し、成り立っていくこと。』を手がける宮本博史(推薦者:手塚さや香)などの作品には「フロンティア」に身を置く孤高と危険さがあった。

推薦者の推薦理由も興味をかき立てられ、見応えのある企画展として充実している。だが、このレベルの展覧会をギャラリーで見ることができるということが実は一番「フロンティア」なのかもしれない。


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