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逆転の庭2(歩庭)
アートワーク
執筆: 小金沢 智   
公開日: 2008年 12月 09日

copy right(c)2007 AMPG

copy right(c)2007 AMPG

高さ2メートル、重さ200キロに達する杉に、マンジュゴケ。それら二つを載せたプランターが時速2キロのスピードで展示室のそこかしこを動き、ときに回転し、お互いぶつかっては方向転換している。遊園地の道具を作っている会社に協力を依頼し制作された作品である。かつて三菱地所アルティアムで開催された「東信展 逆転の庭1」(2006年3月23日~4月23日)とは展示面積の規模が違うだけに比較が難しいが、「庭」という言葉が喚起するイメージをよりシンプルに逆転させようという意思がここにはある。

「町を植物に変えろ/ビルも車もバイクもチャリも植物でつくれ」。そう書く東の念頭にあったのは、昨今の緑化運動に対する反論だろう。長い間「進歩」を標榜し自然を思うがままに切り崩してきたにもかかわらず、今度は「エコ」を旗印にその営業戦略を打ち出している諸企業の姿は滑稽である。今回の「歩庭」はどこかコミカルだが、そういった現況に対する東のシニカルな解答として見ることもできよう。なお東は、パンツのポケットに芝の種を入れ、植生に適した場所があるとさりげなくそれを蒔くという行為を続けてきた。それはささやかかもしれないが心から植物を愛する人間にしか行えない、緑化運動の正しい姿とは言えないか。


作品詳細

アーティスト:  東信
制作年:  2007年
種類:インスタレーション
所蔵:  AMPG
材質:  動くプランター、木、苔
サイズ:  H885×φ1,043(プランターサイズ)×2
展示履歴:  AMPG第6回目展示(2007年9月1日~9月20日)
展示形態:  立体作品展示、動画(制作過程)、コンセプトシート

最終更新 2015年 11月 01日
 

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