モミノキモエル |
アートワーク |
執筆: 小金沢 智 |
公開日: 2008年 11月 29日 |
11月も半ばになると町中にちらほらと現れ出すクリスマスツリー。次第に色とりどりの装飾が施され、そのきらびやかな姿はツリーの大小を問わず多くの人に歓迎されている。花屋の東にとって一年で最も忙しい季節であり、東はそういった仕事も数多く手がけてきた。だから、そういうものを想像して来た人は呆気にとられたのではないか。 入ってすぐに展示されていたのは、天地逆に吊るされ、蝋にまみれたもみの木。いや、言われなければそうとすらわからない、焼け焦げた黒い木か。蝋燭のわずかな灯りだけが煌煌と輝く展示室の中でもみの木は普段とはかけ離れた姿をさらし、それが燃やされる過程を写した動画と写真も同時に展示された。 メインとなる空間では、先と同じく蝋燭が主な照明となる中、もみの木が燃える様子を写した写真がまさにその時間軸通りに9枚、ゆるやかなカーブを描くように横一列に天井から吊るされた。縦2メートル40センチ、横1メートル50センチという巨大なサイズの写真は、「モミノキモエル」その瞬間と迫力を伝えてあまりある。2メートル弱のもみの木を瞬く間に飲み込み、空に向かって立ち上る炎。わたしたち人間は火の圧倒的な力を恐れながらも、そのエネルギーから多大な恩恵を受け、美しさもまた見いだしてきた。その全てが凝縮された展示の、なんと一年の終わりにふさわしいことか。 作品詳細アーティスト: 東信 |
最終更新 2015年 11月 01日 |