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宮澤男爵:宙吊り/ in mid air
編集部ノート
執筆: 平田 剛志   
公開日: 2010年 4月 13日

何ごとも「濃さ」や刺激を要請する時代にあって、宮澤男爵の描く薄く消え入りそうなドローイングははっきりとしない茫漠した作品に見えるかもしれない。だが、色数の少なさ、極細の筆致、フラジャイルな線は表現の「薄さ」を意味するものではない。

むしろ増殖するように描かれた無数の丸や点の集積が作り出す人物や顔、消しゴムで消した痕跡が造形へと加担する豊かな形象の連鎖は、印刷では見えてこない絵画面の豊かなざわめきを見てとることができるだろう。

宙吊りにされた揺らぐ「絵」を目で捕まえてほしい。それは「濃さ」になれた私たちの感性に新たな空気を注入してくれることだろう。

最終更新 2015年 11月 03日
 

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