| EN |

菊池史子:漂流
編集部ノート
執筆: 平田 剛志   
公開日: 2010年 1月 29日

「漂流」とは、この時代に心もとない言葉のように響くかもしれない。だが、社会情勢とは異なり、菊池の展覧では身を預けることのできる「浮遊物」のように作品がある。 ギャラリーには母と子を捉えたポートレートをはじめ、風景や動物などがボケや淡い色調によってプリントされた写真に見える作品が並ぶ。だが、それらは版画(雁皮紙に染料(モノタイプ))による作品なのである。画面に目を凝らせば水による染みや滲み、色の淡い濃淡が豊かで瑞々しい画面を作り上げていることがわかるだろう。さらに、アクリルマウントによる額装がイメージに軽やかさを付与し、揺らぎ漂うように展示されている。冬の都市を漂流するのは身に堪えるが、この空間を漂流するのなら悪くない。

最終更新 2011年 1月 20日
 

| EN |