内藤礼:すべて動物は、世界の内にちょうど水の中に水があるように存在している |
編集部ノート |
執筆: 小金沢 智 |
公開日: 2010年 1月 12日 |
暗く、豆電球が灯る展示室。そこであなたは展示—ケースにも入ることができる。テキスタイルが敷かれた展示室。あなたはそこで一枚の紙を手にする。それにはきわめて小さく文字が印字されている。反転しているから注意深く読んで欲しい。そうして降り立つ一階では、ひらひらと中空に浮かぶものがある。きらきらと空間を切り取るものもある。それらの素材は特別なものではない。見慣れた空間を一変させる、見慣れたものを使った作品がそこかしこにある。 神奈川県立近代美術館 鎌倉はこれほどに「広い」空間だったか?板倉準三の設計によって一九五一年に完成した本館は、六十年近く経った今の目線から見れば決して広くはない。一階の一部も耐震性の問題のため使われていない。にもかかわらずこれほど広さを感じさせるのは、内藤礼の傑出した空間処理能力が成せる技だ。展示室に足を踏み入れれば、途端に内藤の世界に引き込まれるだろう。 |
最終更新 2015年 11月 03日 |