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ヨコハマ国際映像祭2009:CREAM
編集部ノート
執筆: 平田 剛志   
公開日: 2009年 11月 13日

開幕直後の藤幡正樹氏の出品辞退が波紋を広げているフェスティバルだが、見逃せない映像作品が展示・上映されていることに注目がいかないのは残念なことである。 メイン会場は新港ピア、BankART Studio NYKの2会場だが、時間を割くべきはBankART Studio NYKである。 例えば、アルフレッド・ジャーの《静寂の音》(2006)、志賀理江子の《CANARY》(2007)は緻密な光と闇の演出が忘れられない「光景」を脳裏に刻みつけられるだろう。映画ファンにはクリスチャン・マークレイの卓越した編集テクニックが冴える美しい四重奏《ヴィデオ・カルテット》、シャンタル・アケルマン『東から(ボーダリング・オン・フィクション)』(1995)を見るだけでも良質な映像・映画体験ができるだろう。特にシャンタル・アケルマンの作品は日本での劇場公開がほとんどなく、これまでも東京日仏会館などでしか見られなかったため、作品を見られる機会は貴重である。そもそも映像とは見ることができないと議論も批評も起らないので、こうして鑑賞の機会が与えられることをまずは喜びたい。 なお、東京藝術大学大学院映像研究科馬車道校舎での上映プログラムに頻繁に足を運ぶようならパスポートを購入されることをお勧めする。

最終更新 2010年 6月 27日
 

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