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安齊重男 展
編集部ノート
執筆: 平田 剛志   
公開日: 2009年 11月 11日

美術は現場で起こる。そこに行かなければ見られないのが「美術」であり、現場にしかないのが「美術」なのだ。つまり、美術と場所は切り離せない密接な関係がある。そのため、美術という「現象」を現場で記録することは大変重要な仕事である。 多摩美術大学美術館と八王子図書館アーケードギャラリーの2会場によって開催される本展は、アートドキュメンタリスト安齊重男の約40年に渡る活動を紹介するものである。美術館ではテーマ展示を、図書館では時系列に展示を行うことで、安齊重男が立ち会ってきた「現代美術史」の一局面が明らかになるだろう。現代美術愛好家の諸兄姉であれば、その知識や記憶を想起させる場となるだろうし、若い学生達にとってはヴィジュアル現代日本美術史として見ることができるだろう。 しかし、安齊氏とて身体は一つである。すべての現代美術の事象を記録しているわけではない。安齊重男は何を写さなかったのかを考えると、もうひとつの「日本現代美術史」が現れるはずである。

最終更新 2010年 7月 02日
 

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