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わくわくJOBAN-KASHIWAプロジェクト
編集部ノート
執筆: 平田 剛志   
公開日: 2009年 11月 09日

JR常磐線は上野から仙台までを結ぶ路線である。だが、このJOBAN-KASHIWAプロジェクトは関東圏を越えて、関西、大分で活動する作家たちも合流し、柏という地に流れ込む。到着した場所はかつて映画館だった旧シネマサンシャインとギャラリースペースTSCA Kashiwaだ。 旧シネマサンシャイン会場では会場全体がインスタレーションによって占拠されたかのような空間が創出されている。そんな中、元映画館の映写室で控えめに映像展示をする苅谷昌江の作品だけは、ものを取り散らかしているどのアーティストよりも場所への考察が行き届いていた。苅谷はかつて映画館をモチーフとした絵画を手掛けたことがあるが、今展では元映画館の映写室で映像作品が流れる。それは、かつて映画館という場で時を過ごしたすべての人に贈られるメッセージなのかもしれない。 TSCA Kashiwaでは、柏や京都の地図にその街の情景を描くおかひろし、世界地図を用いて立体を制作する磯邉一郎の地図への異なるアプローチが展示空間に響き合う。 林加奈子のポートフォリオ<STREET PRACTICE>は、都市のすき間や路上の穴、亀裂にわずかな仕掛けやパフォーマンスをするプロジェクトを見ることができるが、そのPRACTICEは都市へと身体を介入するメソッドなのかもしれない(なお、林加奈子はポスター・チラシではなぜか出品作家名に入っていない)。 アーティストたちが集まり、展覧会が作られること。それ自体はいい企画と評価したいし、鑑賞者もその「わくわく」する期待と興奮を共有したいと思う。だが、私はプロジェクトのごく一部の作品に「わくわく」することしかできなかった。

最終更新 2010年 7月 02日
 

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