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大巻伸嗣:絶・景 -真空のゆらぎ
編集部ノート
執筆: 小金沢 智   
公開日: 2009年 9月 13日

私は毎日何かしらのゴミを捨てている。だから今回大巻がインスタレー ションに用いたスラグには、私が捨てたゴミの燃えカスも含まれているかもしれない。TWS渋 谷に出現した大巻の大規模なインスタレーションは、私たちが快適な生活を送る一方で絶対的に生み出している負の部分を露わにする。ただ、その上を靴を履い て歩き、注意書きを忠実に守り、特にそれらに触れないよう気をつけ、傷つくこともない私は、結局その深刻さを明日にでも忘れてしまうかもしれない。自身が 痛みを負わなければ何が深刻かなどわかりはせず、その現実から目をそらして生きていくことは実は容易い。展覧会が露わにしたのは、そのような現代の〈哀し さ〉でもある。

最終更新 2010年 6月 27日
 

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