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ウィリアム エグルストン:パリ-京都
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 4月 18日

《パリ》 タイプC プリント (図版2) 28×35.6cm (図版4) 35.6×28 cm 2006–2008 年 © 2009 Eggleston Artistic Trust, Memphis Courtesy Cheim and Read, New York 画像提供:原美術館

カラー写真を芸術的表現の域にまで高めた先駆者であるアメリカの写真家、ウィリアム エグルストン。原美術館では、その知名度にもかかわらず、日本でまとめて紹介される機会のなかったエグルストンの、日本の美術館における初個展を開催いたします。本展では、円熟味を感じさせる近作である二つのシリーズ、「パリ」と「京都」を中心に初期の代表作を加え、色彩の詩人、ウィリアム エグルストンの豊かな表現の世界を紹介します。 「パリ」シリーズは、カルティエ現代美術財団の依頼を受けて2006 年から3 年にわたってパリのいたるところを撮影したもので、2009 年にパリの同財団美術館での個展で発表されました。カメラを通して類型的なイメージに堕さない都市の断片を鮮やかな色彩ですくいあげた作品ですが、このシリーズは写真だけでなく、色彩豊かで闊達自在な即興的ドローイング作品によっても構成され、これまで発表されなかったエグルストンの意外な一面に触れることもできる貴重な作品です。
  また「京都」は、パリに先立つカルティエ現代美術財団とのプロジェクトとして2001 年に制作されました。撮影場所の選択を任されたエグルストンは、自分が知っているお気に入りの地として京都を選択しました。ここでも、古都であり国際的な観光都市として類型的なイメージが染みついた日本の大都市の細部を、自由自在かつパーソナルな視線で切り取っているところが魅力です。
  本展ではこの二大シリーズに加えて、アメリカ南部で撮影した初期の出世作「ウィリアム エグルストンズ ガイド」の一部作品も展示いたします。なお、「パリ」シリーズの展示は9 月にスウェーデン、ヨーテボリのハッセルブラッド財団へ巡回いたします。
  【ウィリアム エグルストン】 William Eggleston
1939 年、アメリカ南部テネシー州メンフィスに生まれ、ミシシッピ州で育つ。大学時代にアンリ カルティエ=ブレッソンやウォーカー エヴァンズの写真集に影響を受けて写真家を志す。卒業後は郷里に戻って現在もメンフィスに住む。60 年代初めはモノクロ写真を撮っていたが、次第にカラー写真に専念するようになる。1976 年、ニューヨーク近代美術館写真部門ディレクターのジョン シャーカフスキーが、同館では初めてのカラー写真家の個展としてエグルストンをとりあげ、同時に写真集「ウィリアム エグルストンズ ガイド」を刊行。これを機に、カラー写真を芸術的表現の域にまで高めた作家の一人として名声を確立する。以後、世界各地の美術館で発表するだけでなく、諸外国で撮影した写真作品も制作し、1998 年には写真界のノーベル賞とも言われる「ハッセルブラッド賞」を受賞。2008 年からニューヨークのホイットニー美術館を皮切りに大規模な回顧展が欧米を巡回中。
 http://www.egglestontrust.com
  ※全文提供: 原美術館

最終更新 2010年 6月 05日
 

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