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ジャンルー・シーフ写真展:Unseen & Best works
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 4月 01日

ジャン=マルク・シナンのモード、パリ 1987年 ⓒ The Estate of Jeanloup Sieff/G.I.P.Tokyo

現役で活動中だったジャンルー・シーフの突然の訃報から10年、夫人のバルバラ(写真家でもありシーフのモデルも経験)を中心に未発表作品の見直しが行われました。何故未発表だったのか、後に発表する筈だったのか、選定は作家の領域にどこまで踏み込めるのか、コンタクトシートやシーフのこだわったプリント表現など知られざる作品の興味はつきないでしょう。これらの作品は作家と共に歩んだ名プリンター、イヴ・ブレガン(フランス)、トマ・コンザニ(セントラルカラー/フランス)により蘇りました。ゼラチンシルバープリントの銀塩粒子、バライタ印画紙の微妙なトーンによる力強く格調高いシーフスタイルの表現です。まさにモノクロ写真芸術。そこには1950年代後半青年シーフのマグナム所属時期に実力を見せるルポルタージュや1960年代前半のニューヨーク時代の『ハーパース・バザー』での仕事が多く見られます。この時期はシーフのもっとも活力に溢れたパワー全開期にあたります。シーフ固有の力強い垂直画面と広角レンズの巧みな表現は変わらず、カメラも主としてクラシックライカと伝統のニコン、ハッセルブラードなどアナログカメラを愛用しました。 シーフは常に反骨の精神を掲げ、最後まで自らを律し、それは彼の構図や表現の厳格さに現れています。しかし、その反面シーフはワインを愛し、気の利いた駄洒落を飛ばし相手を煙にまいては楽しみ、また一方で写真は、“失われた時を求めて”いく、ノスタルジアの感慨を生涯抱いてもいました。1973年の日本における初めての個展以来今日に至るまで国内での展覧会は15回以上開催されました。いつも好評を得てきたのは、日本の根強いシーフファンの存在と時代が経過しても何ら古臭さを感じない作品の魅力によるものといえるでしょう。 本展は未発表作品を集大成したものですが、他に名作コーナーを設け人々の記憶に残る珠玉の代表作を加えて構成しています。 ジャンルー・シーフ Jeanloup Sieff(1933〜2000)
1933年パリ生まれ。1955年フランス『エル』誌の写真リポーターとしてデビュー。若くして頭角を現し1959年ニエプス写真賞に輝く。マグナム写真家集団に短期間所属しルポルタージュを得意としていたが1960年代ニューヨークに滞在し『ハーパース・バザー』『ヴォーグ』『エスクアイア』『ノヴァ』など世界的なファッション雑誌でパリとニューヨークを往復しながら華やかに活躍した。70年代、80年代はヌードなどパーソナルな作品や広告、ポートレイトにジャンルを広げた。モノクロ写真に徹し多くの名作を残したが風景作品にも傑作が多い。フランス国家の名誉顕彰シュバリエ賞とパリ市芸術家顕彰を受ける。文才にもたけ出版物には必ず自身の長文テキストをよせている。写真展は1986年パリ市立近代美術館(1986年)のほかに日本を含む各国で開催。代表的な出版物に自伝付き大写真集「ジャンルー・シーフ1950-1990」や「ヌードトルソー」「デリエール」がある。2000年9月現役で活動中に急逝。遺族らによって本格的に未発表作品が纏められその作品は2007年ドイツで写真展とシュタイデル社の出版物「レ・ザンディスクレット」で公開された。シーフの写真に登場した2人の子供ソニアとサッシャは現在、写真とミュージックの分野で注目の若手アーテイストの道を歩み、母バルバラも写真家として活動を続けている。 (ジャンルー・シーフ展のカタログ問い合わせ:  このメールアドレスは、スパムロボットから保護されています。アドレスを確認するにはJavaScriptを有効にしてください ) ※全文提供: (株)ジー・アイ・ピー

最終更新 2010年 3月 27日
 

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