白岡順:梅雨と白雨 |
展覧会 |
執筆: カロンズネット編集 |
公開日: 2010年 3月 26日 |
ブルームギャラリー1周年企画展。ゼラチンシルバープリント約20点を展示予定。
白岡 順 Jun Shiraoka ※全文提供: ブルーム・ギャラリー 会期: 2010年6月1日-2010年6月27日 |
最終更新 2010年 6月 01日 |
「白雨」とは聞き慣れない言葉かもしれない。「白雨」とは「明るい空から降る雨。にわか雨」のことだという。梅雨と白雨。白岡順のモノクローム写真を形容するのに、これほど相応しい言葉もないだろう。
かつて文芸評論家・加藤典洋は白岡の写真についてこう述べたことがある。
「黒は水羊羹の黒。白は寒天の透明さ。それはひんやりしているけれどそれだけではなく、口に含むことができる。」(「白岡順 1991作品展「苳の花」」『白岡順』カロタイプ、2010年、p.20[初出『太陽』No.372、 1992年6月号])
窓からの眺め、水滴、黒と白のモノクロームの淡いから現れてくる女性のヌード。写真が現像によって像が現れてくるように、鑑賞の場においても濃密な空気感を漂わせて、像が現れてくる。水羊羹の舌触り、寒天の口どけ、梅雨の蒸し暑さ、白雨の唐突さ。五感(語感)を刺激してやまない白岡順の写真は梅雨時の湿気のように、私の身体に纏いつき離れない。だが、その感触は不快というより、心地よい。