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空山基 展
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 3月 20日

画像提供:ナンヅカアンダーグラウンド copy right(c) Hajime SORAYAMA

空山基(1947-)は、1969年に中央美術学園を卒業、広告代理店勤務を経た後1972年よりフリーとなって以後、驚異的な写実力を武器に、ロボットやエロティシズムを追求した女性像の作品で、国内外で伝説的な存在となっているアーティストです。その名を世に知らしめた作品「セクシーロボット」シリーズ(1978年-)では、そのメタリックな質感や反射光の描写力に、世界中の人々が驚愕しました。1999年には、ソニーが開発したエンターテイメントロボット「AIBO」のコンセプトデザインを手掛け、グッドデザイン賞グランプリ(通産省)、メディア芸術祭グランプリ(文化庁)を受賞。2001年には、初代「AIBO」がスミソニアン博物館&MOMAのパーマネントコレクションに収蔵され、同年に朝日新聞発明賞を受賞しています。また、世界的ロックバンドAerosmithのニューアルバム「Just Push Play」(20019のアルバムカバーを手掛けたことでも有名です。 空山は、エアブラシ技法のゴッドファーザーとしても、世界中のアーティストから尊敬を集めています。人間の肌、唇、眼球、髪の毛、体毛の1本1本、あるいは衣類の革やシルクの質感、ロボットのメタリック感、反射する光など、微に入り細にわたったスーパーリアルを追求するために、空山は自然とエアブラシを使って絵を描くようになったと言います。空山は、写実的絵画の可能性について、「写真では絶対不可能なアクロバットな姿勢や、現実には存在し得ないコスチュームを人物につけさせたり、あるいは解剖学的にはずれる肉体や自分好みの美女を自在にコラージュして作り出す事ができる」と語っていますが、あくなき美意識を追求する空山の努力が、この「発明」を生み出したと言えるでしょう。 空山は、「アートという言葉が嫌い」と語ると同時に、自身をジョージ・ブラウン・ペティやジル・エルブグレン、アルベルト・ヴァーガスといったアメリカのピンナップ画のパイオニアたちの系譜者として捉えています。「自分の絵にはストーリー性はない。モデルたちはひたすら自己完結した孤高な存在のままである。そういう意味で、依然として私の作品は、ピンナップ・アートのパラダイムに属していると考えている」と。空山基というアーティスト像をどのように捉えるかは人それぞれなのかもしれません。その職業キャリアと徹底的に技術を追求するという職人的気質にのみ着目すれば、空山はイラストレーターとカテゴライズされるでしょう。一方で、エアブラシ技法のパイオニア、ロボットペインティングやヌード肖像画のカリスマと捉えれば、その文脈はより広がりを持ち得ます。世界のアートシーンは、今も尚その可能性が模索され続けています。21世紀の現代美術が、これまで明確な答えを見出せてこなかったアートとデザイン、商品とアート、日常と美の関係といった問題の克服に挑戦を繰り広げる中で、あるいは空山の存在がその一つの回答となるのかもしれません。 今回の展覧会では、約40年に及ぶ長きキャリアの中から、厳選された秀作10数点展示する予定です。5月22日(土)には、アーティストを囲んでのレセプションパーティーを開催いたします。 ※全文提供: ナンヅカアンダーグラウンド

最終更新 2010年 5月 22日
 

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