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秋吉風人:口説き文句は持ってない
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 3月 09日

《Room》 2008年 oil on canvas|40.9x31.8cm each *a set of 2 画像提供:TARO NASU copy right(c) Futo AKIYOSHI

1977年生まれの秋吉風人は2000年のデビュー以来、一貫して絵画とは何かという古典的命題をテーマに制作を続けてきた。 2008年には「THE ECHO」展への参加、昨年はベルギーのOffice Baroque Galleryでの個展、ドイツ・ライプチヒのDogenhaus Galleryでのグループ展への参加など、近年順調に活躍の場を広げてきている。 秋吉は、油絵という西洋美術の伝統的な枠組みを意識しながら制作を続けてきた。金色の絵具だけで室内の光景を描く作品群「Room」は2002年より、秋吉がライフワークとして取り組んでいるシリーズである。絵画の古典的な構造を光と三次元性の表現に見いだした秋吉は、その構造を踏襲しつつ日本人にしか描けない油彩画を創造した。光を表す金色の絵具と空間の存在を暗示する最小限の線で描かれたそれら金色のペインティングのシリーズは、西洋美術の本質をミニマリスティックに解釈し、象徴的に表現したものである。 また細く繊細な筆線の集合によってキャンバスを塗りつぶすその手法はあえて、漆塗りのような手工芸の技法を選択した。それは、長らく工芸を芸術のヒエラルキーにおいて下位のものとして扱ってきた西洋美術の論理とは一線を画す、日本美術ならではの個性を主張している。この静謐な美しさをたたえた抽象画でもあり具象画でもあるシリーズは西洋と東洋の衝突が生んだ新たな美として、海外のコレクタ-やキュレータ-にも注目されている。 金色のペインティング「Room」7点に加え、今回は秋吉作品の構造を作家自らが分析したともいえるポラロイド写真や、新シリーズのペインティング3点を展示いたします。 また、秋吉は国立国際美術館(大阪)にて開催中のグループ展「絵画の庭 ゼロ年代日本の地平から」にも「Room」シリーズを出品しております。 ※全文提供: TARO NASU

最終更新 2010年 3月 13日
 

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